2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト歯根膜組織由来細胞の破骨細胞分化誘導メカニズムに関する基礎的研究
Project/Area Number |
20592417
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
松澤 光洋 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (60288082)
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Keywords | 歯学 / 歯根膜細胞 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 細胞分化 / アメロジェニン / TRAP / RANKL |
Research Abstract |
歯の萌出路の形成には破骨細胞による骨吸収が必要であり、萌出過程での破骨細胞形成はエナメル上皮からのシグナルによって開始されると考えられている。平成22年度は、近年シグナル分子としての機能が注目されているアメロジェニン(rM179)を用いて、歯根膜由来細胞の細胞分化に対する影響およびマウス脾細胞由来破骨細胞との共存培養系による破骨細胞形成能について検索を行った。アメロジェニンに対する骨分化マーカー(COL1、ALP、OCN mRNA)のポジティブ反応はROS17/2.8 cellsを用いて確認した。HPDL cellsにおいてはCOL1;70%、ALP;40%の発現抑制がみられた。破骨細胞分化因子RANKLのmRNA発現は、1μg rM179添加によりROS17/2.8 cellsで約3倍、HPDL cellsで2.5倍の上昇が認められた。さらにWestern blottingでは、コントロールに対しROS17/2.8 cellsで約2倍、HPDL cellsで1.4倍を示し、タンパク質レベルにおいてもRANKLの発現上昇が確認された。脾細胞由来破骨細胞に対しては1、5μg/ml rM179でそれぞれ43%、75%のTRAP陽性細胞数の抑制がみられたが、HPDL cellsとの共存培養においてはそれぞれ35%、45%の抑制を示し、HPDL cellsの共存によりTRAP陽性細胞数の上昇が認められた。骨芽細胞様細胞としての性質を有する歯根膜細胞が、rM179により骨分化マーカーの上昇を示した骨芽細胞の応答と異なることは興味深い。共存培養系におけるTRAP陽性細胞数の増加は、HPDL cellsにおいてRANKLの発現が促進されることで生じたものと考えられる。以上の結果は、歯の萌出経路においてアメロジェニンが歯小嚢由来細胞を介して骨改造を調節する可能性を示唆している。
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