2009 Fiscal Year Annual Research Report
小児期の歯の喪失による慢性ストレスが海馬に及ぼす影響
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20592420
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
飯沼 光生 Asahi University, 歯学部, 准教授 (70184364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 金弥 星城大学, リハビリテーション学部, 教授 (00329492)
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Keywords | 老化促進マウス / 歯の早期喪失 / 海馬 / 空間認知能 / 神経細胞 / 加齢変化 |
Research Abstract |
前年度、歯の喪失群の老年期で、血中グルココルチコイド濃度が上昇し、海馬神経細胞が障害され、空間認知能が低下したことを明らかにした。そこで今年度は神経細胞の喪失に対し、代償的に働くといわれているグリア細胞の一種でアストロサイトのマーカーであるGlial fibrillary acid protein(GFAP)陽性細胞と新生細胞BrdUを検討した。 老化促進モデルマウス(SAMP-8)を生後3週で離乳させ、上下顎臼歯をペントバルビタール麻酔下で抜歯した。生後1か月(小児期)、4か月(成年期)、8か月(老年期)に行動学的、及び組織学的検索を行った。 1,Morris水迷路テスト:成年期、老年期のマウスではコントロール群に比べ、抜歯群の方が記憶能が劣っていた。 2,免疫組織染色によりGFAP陽性細胞数を測定した結果、成年期、老年期のマウスのCA3領域ではGFAP陽性細胞数がコントロール群に比べ抜歯群の方が優位に増加していた。 3,免疫組織染色によりBrdU陽性細胞数を測定した結果、老年期のマウスのCA1とDG領域ではBrdU陽性細胞数がコントロール群に比べ抜歯群の方が優位に減少していた。 昨年の結果と合わせて老齢期のマウスではもともと高い血中のGC濃度が歯の喪失のストレスでさらに上昇し、その結果、海馬のGRのダウンレギュレーションが起こり海馬からHPA-Axisへのネガティブフィードバック機構が作用しなくなりGCの上昇が持続し、GCによる海馬神経細胞死が惹起され、空間認知脳が低下することが示唆された。 来年度は若齢期に歯を喪失した場合と、老齢期に喪失した場合で老齢期の中枢に及ぼす影響の差を明らかにする予定である。
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