2010 Fiscal Year Annual Research Report
歯周炎と動脈硬化性疾患の生物学的関連を解明する-インターフェースとなるエイジング
Project/Area Number |
20592426
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
多部田 康一 新潟大学, 研究推進機構, 准教授 (20401763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 和久 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00182478)
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Keywords | 歯周炎 / Porphyromonas gingivalis / エイジング / 動脈硬化症 / マウスモデル |
Research Abstract |
本研究の目的はエイジングを視点として、マウス歯周炎モデルにおける病態形成のメカニズムを明らかにするとともに、歯周炎と動脈硬化症との関連についてその関連機序について明らかにすることである。 H20年度に作成したマウスにおける、歯周病原細菌Porphyromonas gingivalis (P.gingivalis)W83株の口腔感染モデルを用いて、感染による全身的なマウス個体への影響について大動脈中の遺伝子発現の変化、血清脂質の変化、動脈硬化病変の形成について検討した。P.gingivalisの口腔感染によりC57BL/6バックグラウンドのマウスにおいては実際に動脈硬化病変の発症は認められなかったが、先天的に動脈硬化病変を発症するApoE欠損マウスにおいては長期感染により動脈硬化病変が促進された。P.gingivalisの口腔感染はマウスにおいて動脈硬化症の発症要因としてではなく、促進因子として作用することが示唆された。また血清脂質の変動としてHDLコレステロールが減少、LDLコレステロールが上昇した。口腔内局所の感染がSMやIL-6などのサイトカインを介して動脈における炎症反応に影響していると考えられたが、同時にABCA1、LXRsなどの脂質代謝関連遺伝子の変動も観察された。 この歯周炎マウスモデルにおいては、P.gingivalisの口腔内感染が全身的な炎症応答を誘導し、動脈組織における遺伝子発現の変化に加え、血清脂質の動脈硬化症リスクを高める方向への変動も誘導することが示された。動脈硬化性疾患と口腔感染の関連メカニズムとして、口腔感染が脂質代謝変動に寄与する新しい知見が得られた。エイジングとの関連については今後検討がさらに必要である。
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