2010 Fiscal Year Annual Research Report
多機能分子としてのLL37の歯周炎予防と歯周組織再生における有用性
Project/Area Number |
20592430
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
柴 秀樹 広島大学, 病院, 講師 (60260668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 剛 広島大学, 病院, 助教 (80379883)
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Keywords | LL37 / 抗菌ペプチド / 歯周炎予防 / 歯周組織再生 / 歯周療法学 |
Research Abstract |
抗菌ペプチドLL37は抗菌活性に加え、抗炎症作用、細胞遊走能、血管新生誘導能などを有する多機能分子であることから、歯周組織の再生に有用であると考えている。平成20年度に、LL37(34-mer)が1種類の培養ヒト歯周靭帯細胞(HPDL)の血管内皮細胞増殖因子A(VEGF-A)発現に影響を及ぼさないことを報告した。しかしながら、歯周組織再生の早期における血管新生はその後の再生の促進のために重要な現象であることから、本年度、再度、LL37(34-mer)が3種類のHPDLのVEGF発現に及ぼす影響を検討した。LL37(34-mer)はHPDLのVEGF-A発現を時間・濃度依存的にmRNAおよびタンパクレベルで促進した。また、NF-κB阻害剤とERK阻害剤はLL37が誘導するVEGF-A発現の促進を抑制した。一方、LL37(34-mer)はHPDLのVEGF-B mRNA発現には影響を及ぼさなかった。以上のことからLL37(34-mer)はHPDLにおけるVEGF-A発現を促進させ、その促進にはNF-κBとERKの関与が示唆された。さらに、ラット頭蓋骨骨欠損の骨再生におけるLL37(34-mer)の影響を調べた。非移植群をA群、ウシアテロコラーゲン移植群をB群、LL37(34-mer)とウシアテロコラーゲン移植群をC群とした。C群の骨再生量はA群とB群の骨再生量より優位に多かった。また、C群にはA群とB群に比べ骨欠損内部に豊富な血管新生が確認できた。以上のことから、LL37(34-mer)は骨再生を促進し、その骨再生促進には血管新生が関与していることが示唆された。また、LL37の血管新生誘導にVEGFを介する経路の存在の可能性が考えられた。
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