2010 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫系の活性化を指標とした歯周疾患活動性評価法の確立
Project/Area Number |
20592431
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉村 篤利 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (70253680)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 宜興 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60159100)
中山 浩次 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80150473)
金子 高士 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10284697)
|
Keywords | 歯周疾患活動性 / 歯肉縁上プラーク / 歯肉縁下プラーク / 自然免疫 / TLR2 / TLR4 |
Research Abstract |
歯周病の活動性を正確に把握することは、適切な治療法を選択し治療効果を高めていく上で非常に重要である。 歯周病は、プラーク中の細菌および菌体成分による歯周組織の刺激に対する宿主応答によって引き起こされる炎症性疾患であることから、プラーク中の細菌や菌体成分を最初に認識する自然免疫系の活性化が歯周病活動性の指標となり得ると予想される。本研究では、自然免疫系の活性化に中心的役割を果たすTLR2およびTLR4の活性化を指標にして歯周炎の活動性を予測する方法を確立することを目的とした。平成20、21年度の研究結果から、縁上プラークのTLR4刺激作用は、プラーク採取部位のプラーク指数、歯肉炎指数と正の相関を示し、また、縁上プラークによる刺激で末梢血単核球から誘導されるTNF-α、IL-6、IL-8、IL-10量と正の相関を示すことが明らかとなった。一方、縁下プラークのTLR4刺激作用とプラーク指数との間には正の相関が認められるものの、他の臨床パラメーターとの明らかな相関は認められなかった。本年度は、縁上プラークと縁下プラークの細菌叢について解析を進めた結果、縁下プラークでは、P. gingivalis等の細菌が有意に増加しており、これらの細菌学的組成の違いがTLR刺激作用に影響していることが示唆された。また、TLR4遺伝子の3'側非翻訳領域における遺伝子多型が、末梢血単球のTLR4発現量に与える影響について解析を行った結果、各遺伝子型間に有意な発現量の違いがみられることが明らかとなった。これらの結果から、プラークのTLR4刺激性と宿主細胞のTLR4発現量は、歯肉の炎症の程度に大きく影響を与えていると考えられる。今後も、歯周病感受性並びに歯周病活動性評価法確立のために更に詳細な解析を続けていく予定である。
|