2010 Fiscal Year Annual Research Report
能動喫煙および受動喫煙の口腔内生体防御機構に与える影響
Project/Area Number |
20592437
|
Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
沼部 幸博 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (90198557)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 弘 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (30184683)
鈴木 麻美 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (60318540)
|
Keywords | 唾液 / 能動喫煙 / 受動喫煙 / 好中球 / 生体防御 |
Research Abstract |
本研究の目的は、能動喫煙者と受動喫煙者の口腔内環境変化を、1)生体防御に関与する好中球の各種の機能変化と、2)唾液中の炎症マーカーなどを含む生化学成分変化の両面から捉え、能動喫煙、受動喫煙が口腔組織の生体防御機構に与える影響を検索することにある。本年度は、最終データのとりまとめと、データ解析とを行う。 歯周病と診断された被験者を喫煙者、非喫煙者(後の唾液中コチニンの解析結果から受動喫煙者を判定)に分け、全唾液および唾液好中球を採取し、それぞれ検査を行った。具体的方法として、被験者は全身疾患を伴わないが口腔内に歯周病を有する10名で、うち喫煙者5名非喫煙者5名とし、インフォームドコンセントを確立した。喫煙歴や家族の状況などを含む生活習慣を聴取後、ガム刺激で5分間全唾液を採取するとともに、唾液より好中球を分離採取した。その後唾液好中球の機能(遊走能、貪食能、殺菌能)、唾液中の酵素等を検索した。唾液からある一定量のコチニンが検出された非喫煙の被験者を受動喫煙者、検出されなかったものを真の非喫煙者として定義した。また受動喫煙者と判定された者には現状を速やかに本人に報告し、喫煙対策を指導した。最終的に、健常者の喫煙者、受動喫煙者、非喫煙者のデータと、歯周病患者のデータとを統計学的に比較検討、唾液中の生化学成分および唾液中好中球の各機能変化が、喫煙状態、歯周病の病態とどのような関係があるかを調べた。 その結果、歯周病に罹患している能動喫煙者、受動喫煙者で好中球能は低下し、唾液中の組織破壊由来の酵素活性が高い傾向が示された。このことは、喫煙の与える影響が歯周疾患罹患者では高まっていることを示唆している。
|