Research Abstract |
血清アミロイドA(SAA)は,急性炎症性タンパクであり,我々は,動脈硬化症易形成性マウスの歯周病原菌感染モデルにおいて,肝臓でのSAAのmRNA発現上昇を検出した.さらに,マウスの歯周組織にIL-6を注入した場合,肝臓でのSAAのmRNA発現,血中SAAの上昇を確認している,この結果は,歯周組織中のサイトカインが血中に移行して,肝細胞を刺激し,SAAの産生上昇をきたすことを示している.しかし,現在,SAAの産生上昇による動脈硬化症の発症,悪化は確認されていない,そこでSAAが,心臓血管疾患の原因となる動脈硬化症の発症,増大に関与しているか否かを検討し,両疾患の関連機序,SAAのマーカーとしての役割を明らかにするのが本研究の目的である. 上記の目的を達成するために平成20年度に以下の実験を行った. (1)実験動物:ApoEノックアウトマウスは,The Jackson Laboratoryより,オリエンタル酵母工業株式会社バイオ事業本部を通じて雄雌のペアを購入し,当施設で繁殖させている,現在4匹の子供が生まれ,メイトを繰り返し,研究必要数まで繁殖中である. (2)コントロールマウス実験:10匹のコントロール群であるPBS注入群を作成した,PBS注入群には0.1%bovine serumalbumin (BSA)含有PBSを,腹腔内投与し,4週間後に心臓から鼠径部までの大動脈を摘出し,3匹は液体窒素にて瞬間凍結後,-80℃フリーザーにて保存,2匹は固定液中で組織用試料とした,また,眼窩静脈叢から血液を採取し,4℃で一晩放置した後,血清を4℃,20分,2,000Gで遠心分離機により分離させ,-80℃で保存した,同時に肝臓の外側左葉部を摘出し,約30mgの小片に分け,液体窒素にて瞬間凍結後,-80℃フリーザーにて保存し,ApoEノックアウトマウスの数が揃った時に速やかに実験群が施行出来る状況を整えた.
|