2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20592441
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
鎌田 愛子 Osaka Dental University, 歯学部, 准教授 (50140215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 定司 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (80169094)
池尾 隆 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (40159603)
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Keywords | アディポネクチン / 骨芽細胞 / マイクロアレイ / アディポネクチン受容体 |
Research Abstract |
歯科の領域では歯周組織再生が急務の課題として挙げられるが、骨芽細胞をはじめとする歯周組織構築細胞のほとんどが脂肪細胞と同じく間葉系幹細胞を起源としており、増殖・分化・代謝の過程で脂質代謝関連分子による作用をうけることは容易に考えられる。本研究では脂質代謝関連物質の動向を再生医療へ応用するために、歯周組織に及ぼすアディポサイトカインの影響を遺伝子発現レベルとシグナル伝達から検索した。便宜抜歯で得られた歯肉、歯根膜、歯髄のいずれの歯周組織でもアディポネクチン受容体の遺伝子発現が検出され、ヒトの歯周組織もアディポネクチンの作用を直接受けることが示唆された。また、アディポネクチンの作用を分子レベルから検討するために、完全長と球状の分子サイズの異なるアディポネクチンを培養マウス骨芽細胞様細胞に添加し、遺伝子発現をマイクロアレイで網羅的に解析した。その結果、完全長のアディポネクチンではWntのような骨代謝関連シグナル伝達系の遺伝子群やJunのようなシグナル伝達の下流に位置する遺伝子群が発現上昇していた。これに対し、球状アディポネクチンのみで発現上昇する遺伝子群は細胞形態や神経系に関連するものが多く、アディポネクチンの球状ドメインが神経系への分化誘導に関与する可能性が示唆された。これらの結果から、アディポネクチンの構造の中には、骨代謝に促進的に作用するドメイン(コラーゲン様ドメイン)と抑制的に働くドメイン(球状ドメイン)が存在するものと考えられた。今後、アディポネクチン機能ドメインのペプチドを作成し、その作用を明らかにすることで、機能ドメインの硬組織形成への応用を検討する。
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