2010 Fiscal Year Annual Research Report
口腔炎症の新しい簡便診断法 -MPOによる新しい唾液検査法-
Project/Area Number |
20592445
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
兼平 孝 北海道大学, 北海道大学病院, 講師 (90194935)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 学 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40157904)
竹原 順次 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (60216934)
|
Keywords | 唾液 / ミエロペルオキシダーゼ / 口腔炎症 / 歯周病 / スクリーニング |
Research Abstract |
(目的)MPO(ミエロペルオキシダーゼ)は、好中球や単球由来の抗酸化酵素の一つであり、生体内に侵入した微生物を殺菌・排除することが知られている。唾液中にも歯肉溝滲出液を通じて分泌されており、炎症の程度を反映する酵素であると考えられている。それゆえ唾液中のMPOを定量することにより、歯周病などの口腔内の炎症の程度を知ることができると考えられた。 (方法)平成22年度は、1)平成21年度と同様に、約100名の被検者から10分間の安静時唾液を採取して、Sandwich test-disk法により、MPOを定量し、その値と歯周病の罹患状況(CPI)を評価した。 2)歯周病患者の初診時と初期治療(initial preparation)終了後のMPO量を時系列的に評価した。 3)智歯周囲炎などの口腔内炎症により受診した患者の消炎前後のMPO量を評価した。 (結果)1)平成21年度のデータと合わせて、安静時唾液中のMPO量を定量することで、歯周病のスクリーニングが可能であることが明らかとなった。特に、MPO量のカットオフ値を1100μg/mlと設定することで、感度0.712、特異度0.769と有用なスクリーニング法であることが明らかとなった。2)初診時と比較して、初期治療終了時にMPO量の低下が認められた。3)消炎前と比較して、消炎後にMPO量の低下が認められた。 (意義・重要)結果の1)に関しては、本法が集団歯科健診において安静時唾液による歯周病のスクリーニングに有用であることを示している。2)と3)に関しては、結果的に被験者数が少なかったため、統計学的に有意な結果が得られていないが、口腔炎症の時系列的変化を把握する方法のひとつとして、簡便で非侵襲的な本法が有効であるといえる。
|