2009 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞の分泌因子が歯周病態に及ぼす影響の解明とその制御による歯周病予防法の開発
Project/Area Number |
20592457
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
秋房 住郎 Kyushu University, 大学院・歯学研究院, 准教授 (40295861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 喜久 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (20192403)
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Keywords | 歯周疾患 / 肥満 / メタボリックシンドローム |
Research Abstract |
成熟脂肪細胞が分泌するアディポカインの1種であるアディポネクチンのアイソフォームのうち、球状アディポネクチン(gAd)がマクロファージに与える影響について、マウスマクロファージ様細胞株RAW 264を用いて分子生物学的手法により検討を行った。RAW 264細胞はgAdの刺激により、活性酸素種と一酸化窒素の産生を通じて、カスパーゼ活性に依存性のアポトーシスが誘導されるが、その過程で、Bcl-2/Baxの発現比とBcl-2タンパクレベルは低下することを見出した。また、Bcl-2を過剰発現させると、gAdが誘導する活性酸素種と一酸化窒素の産生およびカスパーゼ活性は有意に低下し、アポトーシスの誘導が抑制された。また、gAdの刺激によりミトコンドリア中および細胞質中のカルシウム濃度は上昇するとともに、gAdが誘導する活性酸素種と一酸化窒素の産生は、細胞内カルシウムにより調節されており、カルモジュリンの阻害剤であるカルミダゾリウムの前処理により、gAdが誘導する活性酸素種と一酸化窒素の産生は抑制された。我々はこれまでにgAdは、歯周病原性細菌Aggregatibacter actinomyoetemcomitans由来リポ多糖(LPS)が惹起するマクロファージの炎症性反応を抑制することを報告したが、この炎症反応の抑制機序の1つとして、gAdはp38 MAPK、JNK、ERKおよびNF-κBの活性化を抑制することでTNF-αの分泌を抑制することを見出した。また、LPS刺激により誘導される抗炎症性サイトカインのIL-10の分泌量は、gAd刺激により促進されることも併せて見出した。これらのことから、gAdはマクロファージの炎症性反応を制御している可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)