2010 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞の分泌因子が歯周病態に及ぼす影響の解明とその制御による歯周病予防法の開発
Project/Area Number |
20592457
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
秋房 住郎 九州大学, 大学院・歯学研究院, 准教授 (40295861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 喜久 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (20192403)
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Keywords | 歯周疾患 / 肥満 / メタボリックシンドローム |
Research Abstract |
アディポネクチンのアイソフォームのうち、球状アディポネクチン(gAd)がマクロファージに与える影響について、マウスマクロファージ様細胞株RAW264を用いて分子生物学的手法により検討を行った。我々はこれまでに、RAW264細胞をgAdで刺激すると、活性酸素種(ROS)と一酸化窒素(NO)の産生することを見出したが、mTORの阻害剤であるラパマイシンで前処理すると、このgAd刺激により誘導されるROSとNOの産生は抑制された。gAd刺激によりmTORはリン酸化されたが、AMPKの特異的活性剤で前処理すると、このmTORのリン酸化、およびROS、NOの産生は抑制された。これらのことから、gAdはmTORの活性化を介してROSとNOの産生を誘導する事が明らかとなった。 細胞内シグナル伝達因子であるJakを、特異的阻害剤AG490で前処理もしくはRNA干渉により活性を阻害すると、gAd刺激によるROSとNOの産生は抑制された。また、SOCS3を強発現すると、同様にROSとNOの産生は抑制され、引き続き誘導されるカスパーゼ依存性のアポトーシスも抑制した。これらのことから、gAd刺激はJak-STAT経路によりROSおよびNOの産生を誘導していることが示唆された。 臨床的な知見として、ヒトの歯肉線維芽細胞はアディポネクチン受容体を発現しており、TNF-αを作用させるとその発現量は低下した。また、歯周病患者の歯肉細胞では、正常な者と比べてアディポネクチン受容体の発現量が低下していたことから、歯周病における炎症状態ではアディポネクチン受容体が減少することで、炎症局所の上皮組織においてアディポネクチン刺激が伝達されにくくなることから、アディポネクチンの抗炎症性作用が減弱される可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)