2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規リスクファクター候補口腔バイオフィルム細菌による動脈硬化誘発機序の実験的解明
Project/Area Number |
20592459
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
長田 恵美 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 助教 (00304816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
於保 孝彦 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (50160940)
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Keywords | 口腔細菌 / バイオフィルム / 感染症 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
我々は口腔レンサ球菌が動脈硬化の発症あるいは増悪の一因ではないかという仮説を立て、これまでに口腔レンサ球菌はヒト動脈内皮細胞(HAEC)に侵入することを明らかにした。今年度はHAECに侵入するが、長期にわたり細胞を傷害しない口腔レンサ球菌のサイトカイン産生誘導能を検討した。口腔レンサ球菌とHAECを8、24時間共培養し、抗生剤処理によってHAEC表面に付着した菌を死滅させた後、さらにHAECを24時間培養した。回収した培地中のIL-6、IL-8、MCP-1タンパク量はELISA法で定量した。また菌が侵入したHAECのIL-6、IL-8、MCP-1 mRNAの発現を調べるために、菌の侵入後2、8、24時間後にHAECからtotal RNAを抽出し、リアルタイムPCR法で相対定量解析を行った。Streptococcus gordonii ATCC 10558、Streptococcus salivarius ATCC 13419、Streptococcus mutans Xc各々が侵入したHAECは、対照のHAECと比較して有意に多くのサイトカインタンパクを産生した。もっとも多くのサイトカインタンパク産生を誘導したS.mutans Xcが侵入したHAECにおけるIL-6、IL-8、MCP-1 mRNAの発現は、時間の経過とともに増加していた。また2、8、24時間後すべての時点において、菌が侵入したHAECは、対照のHAECと比較して有意に多くのサイトカインmRNAを発現していた。一部の口腔レンサ球菌は、HAECを傷害することなく同細胞に侵入した状態でサイトカイン産生誘導を続けることから、口腔レンサ球菌は動脈硬化の発症あるいは増悪に関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)