2010 Fiscal Year Annual Research Report
口腔常在細菌叢のコントロールによる口腔および全身性感染防御法の構築とその応用
Project/Area Number |
20592460
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山口 泰平 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 准教授 (80230358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
於保 孝彦 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (50160940)
五月女 さき子 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (20325799)
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Keywords | 口腔細菌 / バイオフィルム / 唾液 / 凝集素 / 感染 / 付着 / アルブミン |
Research Abstract |
常在菌の組成は各個人で異なっており、病気に対する感受性に影響している。細菌の生体への付着、定着を制御することにより、細菌叢の組成を改善して将来問題を起こすであろう菌種を排除ないし割合を低下させることを目的とした。唾液凝集素は唾液中の量に個人差があり、同程度の凝集素を含んでいる唾液でも、菌体の付着能には大きな差が認められた。菌体付着を阻害する物質はアルブミンであった。この効果を得るためには、唾液凝集素とアルブミンを同時に固相化することが重要であった。このことは両分子間で相互作用が起こっていることを示しており、新たな発見であった。アルブミンの活性部位は半ばより少し上流域で第3から6エクソンに相当する部分であった。分子情報に基づき、アルブミンのcDNAを合成して段階的に短縮した8種類の組み換えタンパク質を生成して付着阻害能を確認した結果、188から325アミノ酸の領域が重要であった。唾液凝集素を介した菌体の付着は広い菌種で確認されており、ミュータンスレンサ球菌についても同様な効果を確認した。10人から唾液をサンプリングして、菌体凝集活性、付着活性、唾液凝集素、アルブミン量測定して、口腔内所見(デンタルカリエス、歯周病)との関連について検討したところ、基礎実験結果に添った凝集、付着活性を示したが、口腔内所見とは明らかな関係は見られなかった。本研究の最終的な目的である、モデル動物やヒトにおける細菌叢のコントロールには残念ながら行きつかなかった。しかし、基礎的なデータは採取できたので、感染阻害に有効な物質(食品)の探索を含めて今後検討していきたい。
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