2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20592462
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
木下 憲治 北海道医療大学, 心理科学部, 教授 (50211199)
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Keywords | 嚥下 / 喉頭 / 誤嚥防止 |
Research Abstract |
嚥下の咽頭期における気道防御は喉頭蓋の翻転、仮声帯・真声帯の閉鎖によってなされる。これらの事象は、比較的一定の順序:すなわち真声帯が最初に閉鎖し、続いて仮声帯の閉鎖、そして最後に喉頭蓋の翻転の順に起こると信じられていたが、技術的な限界から実際に連続して起こる順序を解明することは困難であった。嚥下造影法では、喉頭(声帯とその周辺領域)を観察することは、十分なコントラストが得られないため喉頭による気道防御機構を明らかにすることは困難であった。 最新の320列Area Detector CTを使用した研究では、とろみの付いた液体(thick liquid)では、声帯閉鎖と喉頭前庭閉鎖がほぼ同時に生じ、その後喉頭蓋が翻転しているのに対し、さらさらした液体(thin liquid)では、とろみの付いた液体とは順序が異なり、まず声帯閉鎖が生じその後に喉頭前庭閉鎖、さらにその後に喉頭蓋翻転が生じていることが明らかになってきており、咽頭期ではあるが嚥下する食の状態により、非常に柔軟に気道の保護機能を変化させていることが報告されている。 咽頭期に咽頭収縮の認められない脳幹・小脳梗塞の症例では、嚥下内視鏡において喉頭閉鎖機能の観察が可能であるが、喉頭挙上・食道入口部の開大が認められるにもかかわらず声帯の内転は認められるが仮声帯の内転・喉頭蓋の翻転が認められない、あるいは喉頭口の閉鎖が認められない場合に、食の形状・量において制限された条件下でないと誤嚥を生じることが認められ、そのため極めて制限された条件下でのみ経口摂取が許容されるということが生じていた。
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