2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20592464
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
稲葉 大輔 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (90146085)
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Keywords | 歯学 / 食品 / 唾液 / 再石灰化 / 臨床検査 |
Research Abstract |
今年度は齲蝕診断に必要な定量的光誘導蛍光装置の撮像素子を30万画素から1,510万画素へ飛躍的に向上させた高解像度デジタルQLF(以下、QLFD)の諸特性を検討し、それらをもとに実用可能な評価システムを完成させた。確認された特性は次の通りである。 (1)人工的に調製した脱灰性白斑WSおよびその再石灰化歯質を材料として、健全部に対する同部の緑色蛍光強度の減少率ΔFを旧機種QLFとQLFDで同時測定した結果、いずれも測定値に有意差はなく、新開発のQLFDは従来と同等の初期齲蝕検出性能を有していた。(2)光学フィルターを赤色蛍光に特化させたところ、QLFDは硬組織のWSに加え、歯質表面または内部(潜在齲窩)の細菌由来ポルフィリン像を鮮明に映像化できることが確認された。(3)赤色蛍光強度ΔRは次のアルゴリズムで定量化が可能であり、ΔRからは赤色分布深度ΔSが算出可能であった。ΔRp=(Rp/Gp)/(Rs/Gs)ここで、Rp and Gpは画素p位置での赤色および緑色成分、またRpとGpは健全部位の赤色および緑色成分の平均値である。(4)表層下部で進行した潜在齲蝕のΔS値は1.0(エナメル質限局)~8.9(象牙質進行例)に分布し、断面で視認された齲蝕深度と有意に相関することが確認された(r=0.78,Speaman ; p<0.05)。(5)赤色蛍光画像のR/G比(S)とICDASスコアを対比した結果、両者は有意に相関することが確認された(r=0.60,Spearman ; p=0.0048)。(6)R/G比(S)によるICDASコード3と4の判別性能は敏感度0.78、特異度0.73であった(カットオフ値1.06)。
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