2008 Fiscal Year Annual Research Report
先行期認知が準備期・口腔期の摂食機能に及ぼす影響の解析
Project/Area Number |
20592467
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
冨田 かをり Showa University, 歯学部, 兼任講師 (80338532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大岡 貴史 昭和大学, 歯学部, 助教 (30453632)
向井 美惠 昭和大学, 歯学部, 教授 (50110721)
石川 健太郎 昭和大学, 歯学部, 助教 (80453629)
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Keywords | 摂食・嚥下機能 / 先行期 / 感覚情報 / 捕食時口唇圧 / 口唇圧作用時間 / 動作解析 / 開口量 |
Research Abstract |
【目的】本研究では先行期の感覚情報が準備期・口腔期の摂食動作に及ぼす影響を明らかにすることを目的に、先行期の条件を変えて捕食時口唇圧の測定、及び捕食動作の3次元ビデオ解析を行った。【対象と方法】健康な若年成人男女12名(男性7名、女性5名、平均年齢22,2±1.4歳)を対象に(1)閉眼での介助食べ(2)閉眼で声かけをしての介助食べ(3)開眼での介助食べ(4)開眼での自食の4種類の条件下で、ゼリー食を各3回供し、捕食時最大口唇圧、捕食時口唇圧作用時間、開口量、開口開始時のスプーンと口唇との距離、口腔内処理時間について比較検討した。捕食時最大口唇圧および作用時間は、スプーンの中に小型圧センサ(PS-2KC、共和電業製)を埋め込み測定した。また動作解析は上下唇およびスプーンにマーカーを貼付し、同期させた2台のデジタルカメラにてマーカーの移動量、時間を測定することで行った。【結果と考察】最大口唇圧は条件の違いによる有意差は認められなかったが、条件(4)の自食において、やや強い傾向が認められた。また口唇圧作用時間は、視覚情報がない場合は有意に長かった。捕食時の開口量は感覚情報の多い方が開口量が大きくなる傾向が認められた。また開口のタイミングは、自食の場合が最も早く、介助食べでは遅くなる傾向が認められた。口腔内処理時間については、先行期の条件による有意差は認められなかった。以上の結果より、食物に関する先行期の感覚情報が不十分な場合開口が遅く小さくなる傾向があり、口唇圧を長くかけて捕食することで食物に関する情報を得るというある種の代償機能が働くことが推察された。一方口腔内処理時間には影響を及ぼさなかったことから、先行期の感覚情報の不足は準備期で補償され、口腔期には影響をもたらさないことが示唆された。【結論】健康成人においては、先行期の感覚情報の不足に対し、準備期のスタートである捕食時に口唇が代償的に働く可能性が示唆された
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