2010 Fiscal Year Annual Research Report
先行期認知が準備期・口腔期の摂食機能に及ぼす影響の解析
Project/Area Number |
20592467
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
冨田 かをり 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (80338532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 健太郎 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (80453629)
向井 美惠 昭和大学, 歯学部, 教授 (50110721)
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Keywords | 摂食・嚥下機能 / 先行期 / 高齢者 / 捕食 / 口唇圧 / 圧波形 |
Research Abstract |
過去2年は、先行期の感覚情報の差が摂食動作に及ぼす影響を量的に捉え、口唇圧、開口量、開口のタイミングについて計測を行ってきたが、22年度は、捕食動作の質的な違いを見るため、捕食時口唇圧の圧波形を分析した。【対象と方法】対象は若年成人20名及び高齢者22名名である。以下に示す4つの先行期条件を設定し捕食時口唇圧を測定し、波形分析を行った。条件I:閉眼での摂食介助、条件II:閉眼・声かけでの摂食介助、条件III:開眼での摂食介助、条件IV:開眼での自食【結果と考察】若年成人では、先行期の視覚情報が遮断された状態において、まず弱い初期圧(以下、予備圧とする)をかけ、続いて大きな陽圧をかける二段階の捕食様式が高い頻度で現れた。また視覚情報が与えられると、介助摂食、自食に関わらず、大きな陽圧1回で取り込む様式が多く見られた。高齢者では視覚情報の有無や、介助摂食か自食かに関わらず、予備圧はほとんど見られず1回の大きな陽圧で取り込む様式が高頻度で認められた。健康成人で出現した予備圧は先行期情報が不十分な場合において、食品の物性などを確かめるためのものと考えられ、準備期の初期動作である捕食の段階で先行期の情報不足を補う代償作用が働いている可能性が推察された。一方、高齢者では先行期の情報量によらず初めから強い圧で取り込む傾向があり、先行期の条件に応じた行動につながりにくい可能性が推察された。さらに認知症高齢者5名を対象に自食と介助摂食の差が口唇圧に及ぼす影響を調べたが、指示通り計測できたものは3名で、個人差が大きく、特筆すべき傾向は認められなかった。【結論】若年者においては先行期の感覚情報は、捕食動作に量的な変化だけでなく質的な違いをもたらす可能性が示唆された。しかし、高齢者においては質的な違いは認められず、先行期の情報不足に対する対応が十分ではない可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)