2010 Fiscal Year Annual Research Report
後期高齢者の肺炎,気道感染症予防ガイドラインと口腔機能評価法の確立
Project/Area Number |
20592468
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
桑澤 実希 昭和大学, 歯学部, 助教 (10343500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 武義 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (70130721)
佐藤 裕二 昭和大学, 歯学部, 教授 (70187251)
北川 昇 昭和大学, 歯学部, 准教授 (80177831)
下平 修 昭和大学, 歯学部, 講師 (30235684)
山口 麻子 昭和大学, 歯学部, 助教 (20407555)
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Keywords | 要介護高齢者 / 誤嚥性肺炎 / 気道感染症 / 後期高齢者 / 口腔機能 |
Research Abstract |
誤嚥性肺炎を含む気道感染症の発症は個体の抵抗力の低下・機能の低下,口腔内細菌叢など複数のリスク因子が関与して発症の危険度が上昇することが明らかになっている.これに対して,専門的口腔ケアを提供して予防を行うことが必要であるが,より発症の危険性が予測される「ハイリスク高齢者」を抽出して重点的に専門的口腔ケアを提供することが効果的な人的資源の配置であると考えた。 本研究の結果,施設の要介護高齢者において「低ADL (BI 20点以下)」,「Alb 3.0g/dl以下」,「舌運動範囲不十分」,「食形態の軟食傾向」の4項目で誤嚥性肺炎・気道感染症発症の関連要因である可能性が示唆された.しかしながら,現在までに報告されたリスク因子と全て一致する結果ではなかった。そこで施設の入居者の背景に注目してさらに研究を行った。 発症経験者において多く認められる傾向にあった項目は「低ADL (BI 20点以下)」,「意思疎通不可能」,「歯磨き拒否あり」,「開口保持困難」,「RSST 2回以下」,「口唇閉鎖能力不十分」,「舌運動能力不十分」,「うがい不可能」,「食形態の軟食傾向」であった。 全身状態へ注視すると、認知症の重篇化に関わらず介護拒否は存在するが、歯磨き拒否は重篤化に従い増加した。一方、ADLの低下に従い介護拒否は増加するが、歯磨き拒否の割合には変化がなかった。また、歯磨き拒否は介護拒否の約4倍存在し、介護者の大きな負担となっていると考えられた。栄養状態では、認知症の重篤度による変化は少なかったが、ADLの低下に従いBMI、Alb値とも低下する傾向にあった。各口腔機能は認知症・ADLの重篤化に従い低下した。また、口腔機能の低下と食形態の軟食化は対応しておらず、口腔機能の変化に適応した食形態の提供が行われていないこと示していた。以上より、認知症とADLの重篤度は各項目に対して、それぞれに異なった影響があることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)