2009 Fiscal Year Annual Research Report
摂食・嚥下障害患者のQOL向上のための予後要因分析の研究
Project/Area Number |
20592472
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
菊谷 武 The Nippon Dental University, 生命歯学部, 准教授 (20214744)
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Keywords | 摂食機能障害 / 生活の質 / 介護負担度 / リハビリテーション / 在宅歯科医療 |
Research Abstract |
摂食・嚥下障害患者における機能回復の要因に関与する重要な因子を明らかにすることを目的とする。とくに本研究においては、予後関連因子としてのQOLとの関連やリハビリテーションのアウトカムとしてのQOLに注目する。摂食嚥下障害患者は、食べる楽しみの喪失や社会参加の制限などからQOLが著しく低下することが考えられる。そこで、リハビリテーションの進展や機能改善によってQOLがどのように影響を受けるか、さらには機能改善にどのような影響を与えるか検討し、摂食・嚥下障害患者の予後の改善に寄与することを目的とする。 介護保険施設において、嚥下内視鏡検査を含む摂食機能評価を行い、その評価に基づき、摂食指導を行い、摂食機能評価とその後の予後を検討した。その結果、認知機能障害が摂食機能障害の原因であると判断された症例において予後不良症例が多く認められた。さらに、唾液誤嚥の所見のあるものは予後不良であった。この結果より、要介護高齢者に対する摂食支援には、認知機能障害に対する対策が重要であることが示された。さらに、唾液誤嚥が検出できる嚥下内視鏡検査は有用であることが示された。 また、口腔癌術後患者のQOLとその後の顎補綴装着後の変化について検討を行った。顎補綴前群のGOHAIにおいて国民標準値より有意に低い値を示したことより、上顎癌術後の主観的な口腔の健康評価の低下が伺えた。顎補綴装着前群においてQOL指標すべてに天然歯の咬合について有意差がみられたことより、咬合の有無が生活の質に及ぼす影響は大きいと思われた。SF-8におけるMCSにおいては食物を味わう為に必要な能力との関連が認められたことから、それらの影響が示唆された。装着後群において国民標準値と有意差を示した項目が減少した事より顎補綴によるQOLの向上がみられたと判断できるが、軟口蓋を切除した者においては補綴による代償の困難さが伺われた。
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Research Products
(13 results)