2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20592474
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
大谷 進 Kanagawa Dental College, 附置研究所, 教授 (60104478)
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Keywords | 硬組織 / 年齢推定 / 歯 / D-アミノ酸 / ラセミ化反応 / 象牙質 / D-アスパラギン酸 / ラセミ化率 |
Research Abstract |
歯からの年齢推定において、アスパラギン酸(Asp)のラセミ化率は、加齢に伴い直線的に増加する。しかし、熱が加わると象牙質が褐色を呈すると共にラセミ化率が直線性を示さなくなり、正確な推定年齢が困難になる。そこで、加熱実験(160℃)を行い直線性を示さなくなる限界のAspのラセミ化率を求め、その時の測色値を測定し、焼死体の歯からの年齢推定に役立つか否か検索した。その結果、Aspのラセミ化率の直線性の限界は、50分付近の0.0973で、60分過ぎると直線の傾きが小さくなる傾向で、ラセミ化率が0.1以上であった。ラセミ化率と測色値との相関は、L*a*b*表色系のうちb*がもっとも高く、その時のb*値が17.09で、60分以上では17.99以上を示した。このことから、本法はb*値が17前後以上になった場合、ラセミ化率の直線性がなくなり、正確な年齢を示さなくなる可能性があり、十分注意が必要であることが示唆された。 また、カロリンスカ研究所より送られたスウェーデン人の歯と日本人の歯のラセミ化反応速度を比較したところ、加熱実験の結果、ほぼ同様な速度であることが示唆された。そこで、日本人の歯を対照歯として年齢算出式を求めスウェーデン人の歯(18歯)からの年齢鑑定を実施した。後日、実年齢が判明したが、推定年齢は日本人のデータほど良い成績は得られなかった。その理由は、民族による口腔内温度の影響も考えられたが、スウェーデン人の鑑定した歯が上顎臼歯が多く複根(14歯)であったため、その象牙質の年齢に応じた正確なラセミ化率が得られなかったことに起因していることが示唆された。
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Research Products
(6 results)