2009 Fiscal Year Annual Research Report
定量的層別マッピング法による口腔バイオフィルムへの介入効果の評価に関する研究
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20592477
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
加藤 一夫 Aichi Gakuin University, 歯学部, 准教授 (60183266)
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Keywords | プラーク / グルカン / depth-specific analysis / ミュータンスレンサ球菌 / 歯垢密度分布 / グラスアイオノマーセメント / フッ素 |
Research Abstract |
本研究の目的は、フッ化物製剤の局所応用や機能性食品の摂取など、歯科疾患のリスクを低減させる化学的プラークコントロールの効果を、歯垢細菌叢のコントロールという観点から評価することの有効性を検討することであった。 1.ミュータンスレンサ球菌がスクロースから合成する不溶性グルカンは、歯垢内の物質拡散特性を変化させ、歯面への酸の影響を増大させる。歯垢細菌の産生する乳酸は、口腔環境中から取り込まれたフッ化物(F^-)の抗酵素作用により抑制されるが、フッ化物徐放性を持つグラスアイオノマーセメント(GIC)に堆積した歯垢内部では、そのような一時的なF^-濃度上昇が生じる。そこで、エナメル質とグラスアイオノマーセメント(GIC)に堆積した歯垢内のグルカン、バイオマス、S.mutansの分析から、GICによる局所的歯垢F^-濃度の上昇というdepth-specificな環境変化が歯垢生態系におよぼす影響を検討した。その結果、S.mutansの検出率やグルカン分布から、GICの抗プラーク作用を確認することはできなかったが、S.mutansの検出された歯垢の一部のバイオマスに比して多量のグルカンが検出され、GIC上の歯垢内でもglycosyltransferaseによるグルカン合成が可能なことが示唆された。 2.非う蝕誘発性のキシリトールは酸や不溶性グルカンの発生を抑制するとともに、キシリトールを含有するガムを長期間使用すると、歯垢内のS.mutans濃度やプラーク量が減少すると言われている。また、これまでの予備的な研究から、歯垢内のグルカンとバイオマスの分布は、スクロースの影響を受けることが推定される。そこで、この2つの指標が、歯垢細菌叢のコントロールの評価に有用であるかどうかを検討するため、被験者14名からクロスオーバーデザインで、スクロースおよびキシリトール配合のチューインガムを定期的に摂取した条件下で堆積させたプラーク試料を回収した。今後、この試料を分析する予定である。
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Research Products
(2 results)