2009 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル質の脱灰・再石灰化メカニズムの結晶学的解析
Project/Area Number |
20592478
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Research Institution | Aichi Gakuin University,Junior College |
Principal Investigator |
犬飼 順子 Aichi Gakuin University,Junior College, 歯科衛生学科, 准教授 (40319190)
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Keywords | エナメル質 / 結晶性 / 再石灰化 / 脱灰 |
Research Abstract |
口腔内の歯の脱灰・再石灰化は、歯のエナメル質のリン酸カルシウム塩、すなわちハイドロキシアパタイトが、脱灰によってその構造をくずし、再石灰化によりくずれた構造を再構築していくものと考えられる。しかし、脱灰、再石灰化はどちらも相対的グレイ値を用いたミネラル濃度は同一であっても、その結晶学的構造は果たして同一であるのかは現在明らかにされていない。 研究者は、平成20年度にエナメル質のモデルとみなしたカーボネートハイドロキシアパタイトを調整し、300μmのナイロンリングを作成し口径0,5μmのメンブレンフィルターを用いて封入し、脱灰、再石灰化をさせ、CMRを用いた相対的グレイ値とFTIRスペクトルを測定し、結晶相の同定をおこなった。さらに、平成21年度では、これらの試料をEDXをにより成分分析を行った。その結果ハイドロキシアパタイトのみの結晶相でなく、ハイドロキシアパタイトへの転化の前駆体ともなりうる他の結晶相の混在が認められ、相対的グレイ値と結晶相はかならずしも一致しないという結果が得られた。 さらに、平成21年度は、ヒトエナメル質を削り出した後粉砕し、50~100μmの粒度になるよう分粒し、前年と同様に300μmのナイロンリングと口径0.5μmのメンブレンフィルターを用いて封入し、脱灰液(0.1M乳酸、3mM CaCl_2,1.8mM KH_2PO_4,KOHでpH4.5になるよう調整)に2週間浸漬し、蒸留水で浸漬後、再石灰化溶液(20mM Hepes, 1.5mM CaCL_2,0.9M KH_2PO_4,130mM KCl,pH7.0)に1,2,3,4週間浸漬した。その結果、人工エナメル質よりも、反応性に富んだ結果が得られた。
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