2008 Fiscal Year Annual Research Report
看護師を対象とした「共感的患者理解のための視点取得教育プログラム」の開発
Project/Area Number |
20592479
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
林 智子 Gunma University, 医学部, 講師 (70324514)
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Keywords | 患者心理推測 / 患者の立場に立つ / 看護師の思考 / 看護場面 |
Research Abstract |
本年度の研究は、患者の心理を理解することが難しい揚面を想定し、看護師の患者心理推測方法と看護援助の関連を検討し、患者心理理解における看護師の思考方法の特徴を明らかにすることが目的であった。群馬県内の病院の看護部に、面接調査の依頼を行ない、承諾が得られた17病院の看護師を研究対象者として行なった。それぞれの病院からは1〜23名の協力が得られ、研究対象者は全部で188名であった。平均年齢は36.69(±9.67)歳であった。 面接調査で録音したものを、逐語録に起こし、内容分析の手法で分析したところ、以下のようなカテゴリーが産出された。人工肛門課題の『推測した患者心理』では、3つのカテゴリー【病気はたいしたことはないという楽観的な心理】【人工肛門を受け入れられない悲観的な心理】【仕事のことが心配】が産出された。ここでは、同じ場面を視聴したにも関わらず、推測した患者の心理が「楽観的心理」と「悲観的心理」とかなり異なる内容が推測されていた。これは、看護師個人のもつ思考の違いを反映したものであると考えられる。また、『患者心理推測の根拠』では、7つのカテゴリー【人工肛門はつくらなくてすむという患者の発言】【仕事が忙しく外来をすぐに受診しなかったという情報】【外来で高い確率といった医師の言葉の情報】【患者の話し方】【がんと社会復帰で錯綜している心理】【ボディイメージの問題】であった。このことから、看護師は患者心理を推測するときに、患者の言動を根拠として思考することが明らかとなった。しかし、患者の言動を根拠として患者心理を推測するときに、看護師の立場を離れて、患者側から心情を感じとることができていない可能性が示唆された。この点を次年度の研究で検討していく必要がある。
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Research Products
(1 results)