2010 Fiscal Year Annual Research Report
プランゲ文庫所蔵検閲史料による占領下日本における看護の社会的活動の分析
Project/Area Number |
20592515
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
大石 杉乃 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40194071)
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Keywords | GHQ / プランゲ文庫 / 新聞 / 検閲 / 看護 |
Research Abstract |
本研究の目的は、アメリカ、メリーランド大学のプランゲ文庫(Gordon W.Prange Collection ; 以下、プランゲ文庫)の現地調査により、ポスターおよび既に公開されているパンフレットと新聞の内容と、これらに対する検閲結果とを分析し、占領下における看護の社会的活動の実態と、これらの活動に対するGHQの方針を明らかにするとともに、当時の看護の社会的活動とGHQによる規制が占領終了後の日本における看護に与えた影響を検討することである。 平成22年度の現地調査では、看護に関する新聞広告調査、ポスターの補完調査を中心に実施した。現地調査に先んじ、占領期メディアデータベース化プロジェクト委員会(代表:山本武利)のデータベース(以下、占領期データベース)を用いて、新聞に掲載されている看護に関する広告リストを作成した。現地調査では、広告リストと実際の広告の照合(内容、紙面の段組、紙面全体に占める広告の割合、発信者、検閲の有無)を行った。地域は占領期データベースで地方新聞の検索が可能である九州、四国、中国、北陸地方を対象とした。ポスターは内容と作成者を調査した。その結果、以下の結論を得た。 1) ポスター73枚に掲載されている事項は、結核予防、手洗い、排泄物処理、栄養補給など公衆衛生に関するものが多く、看護に関するものはなかった。また、GHQSCAP Recordsに掲載されている看護のポスターが所蔵されていないことより、すべてのポスターがプランゲ文庫に所蔵されているとは言えない。 2) 「占領期データベース」で、key ward「看護」で広告を検索したとろ235件が検出された。新聞の広告には、看護婦不足、新制度の甲種看護婦学校生の希望者が少ないなど、その地域が抱える看護の状況が反映されていた。 3) 看護に関する新聞広告には、保留や発行停止の形跡は認められなかった。
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Research Products
(3 results)