2010 Fiscal Year Annual Research Report
コロトコフ音の波形分析による新たな健康管理指標の検討
Project/Area Number |
20592518
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
片山 富美代 桐蔭横浜大学, 工学部, 准教授 (70309649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 恒美 桐蔭横浜大学, 工学部, 教授 (80257427)
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Keywords | コロトコフ音 / 循環モデル / 医療・福祉 / 波形解析 / 健康指標 |
Research Abstract |
平成22年度は主に循環モデルと高齢者の波形データ収集および比較を行うことによる健康指標値の検討を研究目的として行われた。まず、循環モデルとしては拍動血流ポンプに模擬血管として市販シリコンチューブを接続したものを使用した。実験の結果から循環モデルの途中のシリコンチューブの径を極端に変化させた箇所において、K音と類似した波形が観測されることが確認された。また、近隣のデイケアセンターにおける高齢者(60歳以上)の波形データ収集においては、20代の若年者と明らかに異なる波形が観測された。速度波形の比較では、高齢者の波形は20代の波形と比べると振幅が小さくかつ細かい振動が観測されないと同時に波形後半部の盛り上がりがやや長く続くことが特徴であった。次に周波数解析結果からは10-30Hz近辺の減衰が高齢者のほうが若年者に比べて大きいことが判明した。これらの結果はコロトコフ音自体に血管の粘弾性特性が反映されているためと推測することができる。さらに、市販のBC Checker(Blood Circulation Checker)を使用して指尖部における加速度脈波と上腕部におけるコロトコフ音を微分した加速度波形も参考のために比較を行ってみたところ、どちらも高齢者の波形は20代の波形に比べると変化が少ないこと傾向があることが観測された。また、指尖部の加速度脈波による血管年齢推定式をそのまま上腕部のコロトコフ音の加速度波形に当てはめると異常な値(極端に若すぎる等)を示すことが多いことが明らかになった。したがって、指尖部用の指標値をそのまま上腕部に適用することは困難であることが明らかになったものの、今回の研究結果から、コロトコフ音波形を解析評価することにより健康指標値と関連したパラメータを抽出できる可能性が高いことを確認することができた。
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