2011 Fiscal Year Annual Research Report
がん化学療法患者の味覚障害および生活への影響軽減に向けた看護プログラムの開発
Project/Area Number |
20592546
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Research Institution | Gunma Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
狩野 太郎 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 准教授 (30312896)
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Keywords | 化学療法 / 味覚変化 / 介入プログラム / がん看護学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、化学療法に伴う味覚変化を体験しているがん患者に対する、症状の軽減及び対処能力の向上に向けた介入プログラムの開発である。これまで筆者らは、独自に開発した,「化学療法にともなう味覚変化症状評価スケール」を用いて、化学療法中のがん患者の味覚機能の評価と、食に関する困り事などの分析を行ってきた。分析の結果をふまえ、風味障害や味覚減退を主体とした「亜鉛欠乏型味覚変化」、口腔乾燥と自発性の苦味を主体とした「苦味・口腔乾燥型味覚変化」、悪心や食欲低下および嗅覚嫌悪に合併する「生体防御型味覚変化」など症状の類型化を提唱し、食品選択の工夫や亜鉛サプリメントの利用、唾液分泌の促進など、症状類型にあわせた対処法を検討した。今年度は、化学療法患者が体験する味覚変化症状と対処法の分類について報告し、この報告を患者・家族向けに編集し、タブレット型コンピュータで閲覧可能な患者向け説明資料を作成した。 一方、化学療法に伴う味覚変化を自覚している患者24名に対する対処法の指導介入効果の検討では味覚変化症状評価スケールの合計得点及びいずれの下位尺度得点についても介入前後で有意な変化は見られなかった。個人単位で見ると数名の患者で明らかな得点の改善が見られたが、対象者のうち13名を占めるパクリタキセル使用者については介入後の得点は不変または悪化が見られた。13名中5名はパクリタキセルとテガフールを主体とする経口抗悪性腫瘍剤が投与されており、上記3類型すべての特徴を持つ混合型と呼ぶべき症状特性を示していた。 化学療法に伴う味覚変化は、投与当日から数日間のみにみられるものや、次クールまで消失せず、治療に伴って症状が増強する蓄積毒性の性質を持つものなど、使用する化学療法レジメンによって症状の性質や経過が異なるため、今後はレジメンごとのデータの蓄積と対処法の開発を行ってゆく必要がある事が明らかとなった。
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Research Products
(2 results)