2008 Fiscal Year Annual Research Report
緩和ケアに移行するがん患者・家族の意思決定支援モデル構築
Project/Area Number |
20592551
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Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
酒井 禎子 Niigata College of Nursing, 看護学部, 講師 (60307121)
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Keywords | がん / 緩和ケア / 移行(transition) / 意思決定 / 家族 |
Research Abstract |
がん患者が根治的な治療から緩和ケア中心の医療に「移行」する時期は、場と時間の分断性の中で医療者は十分に患者・家族のニーズを把握することやケアの継続性を保障することが困難となっているのが現状である。以上より、本研究では、緩和ケアに移行するがん患者・家族の療養生活の充実を図る意思決定支援モデルを構築することをめざすものである。20年度の研究目標として、がん患者の緩和ケア主体の医療への移行期を、場や時間の分断性を越えた「transition」(移行)という概念でとらえることにより演繹的・帰納的両方のアプローチを利用した「移行(transition)」の概念分析を通してがん患者の緩和ケアへの「移行」の概念モデルを作成することを目的とした。 <理論的アプローチ>として、「transition」の概念分析を実施した。「transition」と「cancer」をキーワードとした文献検索から【概念の定義と属性】【先行因子】【帰結】【代理語・関連語】にあたる内容を抽出し、内容分析を行った結果、transitionの属性として、「プロセス」、「分断をつなぐ連続性」「不確かさの感覚」「認識すること」「個人の多面的な反応パターン」「相互作用」の6つの要素が抽出された。また、transitionの先行因子として「変化」と「喪失」の2つが、transitionの帰結には、その反応として比較的短い時間で生じる《短期的な帰結》と、長期的スパンをもって個人に生じるものであり、看護のゴールとみなされる《長期的な帰結》があると考えられた。次に、<経験的アプローチ>として、緩和ケア施設に入院中の患者あるいは家族10例を対象として、一般病院から緩和ケア病棟への移行の中での体験と思いについてのインタビュー調査を実施した。これらの経験的なデータの分析も含めて、終末期がん患者の移行の概念モデルの精選を進めている。
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