2009 Fiscal Year Annual Research Report
緩和ケアに移行するがん患者・家族の意思決定支援モデル構築
Project/Area Number |
20592551
|
Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
酒井 禎子 Niigata College of Nursing, 看護学部, 講師 (60307121)
|
Keywords | がん / 緩和ケア / 移行(transition) / 意思決定 / 家族 |
Research Abstract |
がん患者が根治的な治療から緩和ケア中心の医療に「移行」する時期は、場と時間の分断性の中で医療者が十分に患者・家族のニーズを把握することやケアの継続性を保障することが困難となっているのが現状である。以上より、本研究では、緩和ケアに移行するがん患者・家族の療養生活の充実を図る意思決定支援モデルを構築することをめざすものである。21年度は、緩和ケア施設に入院中の患者あるいは家族10例を対象として実施した、一般病院から緩和ケア病棟への移行の中での体験と思いについてのインタビュー調査の質的な分析を通して、終末期がん患者と家族の緩和ケア病棟への移行に焦点をおいた概念分析の精選を行った。緩和ケア施設に移行した患者と家族には、根治が不可能で予後が短いことに関する医師の告知と緩和ケア施設への転院の勧めをきっかけとして、根治的な治療を行ってきた病院から緩和ケア施設への移行の「プロセス」が始まっていた。《属性》において、患者・家族は、治る見込みはないという認知、積極的治療の限界の実感、緩和ケアを必要とする苦痛を通して移行の必要性を「認識」しており、移行のタイミングやPCUという場に対する「不確かさ」の中で「意思決定」を求められる体験であった。この移行における「反応パターン」には、積極的な治療を中止することへの葛藤である心理的な反応と、不確かさを解消するための情報収集という行動的な反応が特徴としてみられた。移行のプロセスには、意思決定における患者・家族、PCUを勧める医療者や家族、PCUに行く患者自身あるいは行くことを決定した家族に対する周囲の反応といった「相互作用」が影響していた。《帰結》としては、患者の苦痛の改善の他、安心感、満足、楽になった感覚として語られていた他、家族には移行後も自らの意思決定に迷いを感じているケースもみられていた。
|