2010 Fiscal Year Annual Research Report
緩和ケアに移行するがん患者・家族の意思決定支援モデル構築
Project/Area Number |
20592551
|
Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
酒井 禎子 新潟県立看護大学, 看護学部, 准教授 (60307121)
|
Keywords | がん / 緩和ケア / 移行(transition) / 意思決定 / 家族 |
Research Abstract |
本研究は、緩和ケアに移行するがん患者・家族の療養生活の充実を図る意思決定支援モデルを構築することをめざすものである。20年度に実施した「移行(transition)」の概念分析、21年度に実施した一般病院から緩和ケア病棟へ移行した患者・家族のインタビュー調査をふまえて、23年度は「緩和ケア病棟への移行における意思決定支援モデル」を作成した。本プログラムは、第1段階「移行の準備への支援」、第2段階「移行の認識への支援」、第3段階「意思決定への支援」、第4段階「評価とフォローアップ」の4つの段階から構成される。第1段階では、患者・家族の《不確かさ》を軽減することを目的に、移行前の治療期にあるがん患者と家族に対して「緩和ケア」とその資源に関する知識提供を行うことを主たる支援と位置付けた。第2段階では、移行の属性として見出された《認識》を高めるための支援として、療養の場の移行の必要性とタイミングを把握し、インフォームドコンセントの時期や患者・家族の準備状態を的確に判断するための多職種アセスメントツールを軸に展開することとした。第3段階は、療養の場の移行に関する意思決定への支援であり、これはオタワの意思決定支援ガイドに基づいたセルフケア支援の活用を試みた。また、移行に伴う《心理的・行動的反応》への支援として、緩和ケア病棟の見学などの意思決定に活用できる情報の提供と心理的支援を並行して行うよう計画した。第4段階では、患者・家族の移行の帰結を評価するものとして、身体的・心理的変化のアセスメントと、意思決定への迷いを抱える患者・家族へのカウンセリングを行うものとした。本モデルは、がん看護に精通した2名の研究者による妥当性の評価を行い、在宅緩和ケアを含めた地域性に基づく資源の中で一般化できるモデルに精選することが課題となった。
|