2009 Fiscal Year Annual Research Report
がん医療におけるEBNと臨床実践のgapと波及モデルの開発
Project/Area Number |
20592564
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Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
矢ヶ崎 香 St. Luke's College of Nursing, 看護学部, 助教 (80459247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 浩子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (60158300)
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Keywords | がん看護 / エビデンス / ガイドライン / EBP / 波及モデル / フォーカスグループインタビュー / グランデッドセオリーアプローチ |
Research Abstract |
【目的】本研究の最終目的はガイドラインと臨床実践とのギャップの明確化とその要因を構造化し、波及モデルの開発を行うことである。今年度の計画は、1. ガイドラインを臨床で実践するときのギャップの要因を抽出し、構造化する。2. 波及モデルを開発するためのヒアリングを実施する。 【方法】1. フォーカスグループインタビューのデータはグラウンデッドセオリーアプローチを参考に分析を行った。2. ヒアリングは、研究結果を臨床で活用を促進するためにToolkitやWebサイトの開発等を先駆的に取り組んでいる米国のノースキャロライナ大学で実施した。 【結果・考察】分析の結果、コアカテゴリー『EBPのための準備段階にある』が抽出された。これには「組織はEBPよりコストを優先する」「EBPよりも医師やリーダーの権威に従う」「EBPのための知識、判断能力、技術が不足している」「EBPへの関心が低く、受身の姿勢をとる」「オーバーワークの状況でさらなる労力を費やしたくない」「ガイドラインは臨床で即使えない」「エビデンスを広める人材、リーダーが不足している」「研究者も含めたネットワークや協働が希薄である」などの11のカテゴリーと28のサブカテゴリーが含まれた。これらは個人、他者との関係、組織など多面的な要因が複雑に影響し合っており、依然として、エビデンスを臨床で実践するには準備段階にあることが明らかになった。また、文献検討およびヒアリングより、臨床の実践を質改善、EBPを普及させるための方略としてToolkitやWebサイトの開発が課題に挙げられた。いずれも臨床で簡便に手に入り、使いやすい、ニーズに合うものが求められていた。 【結論】臨床実践とEBNとのギャップの要因は『EBPのための準備段階にある』と構造化された。臨床実践家と研究者が協働し、準備を整えていく方法や普及する方略を含めた波及モデルの開発が必要である。
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Research Products
(1 results)