2010 Fiscal Year Annual Research Report
がん医療におけるEBNと臨床実践のgapと波及モデルの開発
Project/Area Number |
20592564
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Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
矢ヶ崎 香 慶応義塾大学, 看護医療学部, 助教 (80459247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 浩子 慶應義塾大学, 看護医療学部, 教授 (60158300)
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Keywords | がん看護 / EBP / ガイドライン / 波及モデル |
Research Abstract |
<目的>本研究は、がん医療における(1)科学的エビデンスと臨床適用の間のギャップを抽出し、構造化すること(2)エビデンスを臨床へ円滑に橋渡すための波及モデルを開発すること、(3)波及モデルの有用性を検証することが目的である。最終年度は、目的(2)と(3)に該当する波及モデルの開発とモデルの有用性の検証を目的とした。 <方法>がん化学療法に関する研修会に参加したがん化学療法看護認定看護師を対象に、研究協力を公募し、同意の得られた14名を対象とした。研究デザインは、2時点(TO:ベースライン、T1:波及モデル適用後6カ月)のprospective cohort studyで、TO(集合法)とT1(郵送法)の時点で質問紙(Barriers Scale(Funk G)調査を行った。Step1~7で構成された波及モデルは、TOの質問紙回収後、概要を説明し、その後のモデルの使用は任意とした。分析方法は、SPSS v18.0を用いて、単純集計および2時点の平均値の差の検定を行った。 <結果>対象14名のうち、質問紙の回収率はTO=100%、T2=92.8%であった。分析の結果、Barriers Scale 28項目のうち「看護師たちには研究について議論できる同僚が近くにいない」(P>.05),「実践のための示唆は明らかにされていない」(P>.005)に有意差を認めた。また、各サブスケール(1:Adopter,2:0rganization,3:Innovation,4:Communication)の2時点の平均値の差を検定した結果、Factor4「コミュニケーション特性」(t=2.209,P>.05)に有意差を認めた。すなわち、本研究で開発した波及モデルはこれらのバリアの軽減に有意であることが明らかになった。一方、有意差を認めなかった他の要因については、さらなる方略の検討の必要性が示唆された。
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