2008 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠・出産を契機とする腹圧性尿失禁の効果的な予防プログラムの開発とその効果
Project/Area Number |
20592573
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村山 陵子 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 講師 (10279854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春名 めぐみ 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00332601)
渡辺 悦子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (90376418)
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Keywords | 腹圧性尿失禁 / 骨盤底筋群 / 腹横筋 / 超音波測定 / 妊娠期 / 産褥期 / 骨盤形態 |
Research Abstract |
1.フィールド調査 (1)目的:妊娠期、産褥期の尿失禁の発症と内部筋力との関連を明らかにする。(2)対象:T病院妊婦健診・産褥健診を受診する妊婦および褥婦、未妊娠女性。(3)方法(2-1)縦断調査:産褥1,3,6か月時の尿失禁症状、腹横筋・骨盤底筋群機能(超音波による測定)(2-2)横断調査:妊娠初期・中期・末期・産褥1か月時点の尿失禁の有無、骨盤形態等(外計測等)(4)結果:(2-1)縦断調査:未妊娠女性(n=17)に比べ褥婦(n=17)では、安静時の腹横筋機能低下が産後6か月まで持続した。骨盤底筋群の弛緩は産後6か月までに回復が認められた。尿失禁有症率は、妊娠中が約70%、分娩後~産後6か月が約30%であった。産後の腹圧性尿失禁有無による比較では、腹横筋機能に明らかな違いはなかったが、安静時の骨盤底筋群の有意な弛緩が認められた。(2-2)横断調査:尿失禁有症率(n=131)は妊娠初期から末期になるにつれ上昇していた。経産婦のほうが初産婦より早い週数から症状を経験している傾向があった。骨盤外計測の諸径線(n=134)は妊娠時期が進むにつれ多くが延長したが、側結合線は時期別の差はなかった。初期は初経産別で差はないが、中期は経産婦のほうが初産婦より複数の径線が延長していた。今後、骨盤形態の変化と内部筋力との関連を、尿失禁症状とともに検討する必要がある。 2.尿失禁予防・改善プログラムの開発 研究(2-1)から、妊娠・分娩により腹横筋・骨盤底筋群機能が低下する可能性が示唆され、産後の腹圧性尿失禁発生に骨盤底筋群機能低下が特に影響している可能性が明らかとなった。骨盤底筋群の更なる弛緩や尿失禁発症を予防するために、腹圧コントロールに関与する各個人の内部筋の変化を把握したうえで実施する、尿失禁予防・改善プログラムの開発にむけ、バイオフィードバック指標の開発、機能回復運動指導内容、運動継続のための支援内容等の検討を行っている。今後継続的に介入を行い、プログラム継続率と身体的・心理的効果をランダム化対照試験により比較検証する予定である。
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