2010 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚トラブルを有する乳児の皮膚バリア機能と皮膚洗浄法に関する研究
Project/Area Number |
20592599
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
古田 祐子 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (60364163)
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Keywords | 乳児 / 皮膚トラブル / 皮膚バリア機能 / 皮膚洗浄 |
Research Abstract |
わが国のアトピー性皮膚炎の有病率は近年増加傾向にあり、患者の約8割が乳幼児期に発症すると言われている。また、発症にいたるまでに軽度の皮膚トラブルを繰り返している傾向が見られることから、乳児の皮膚トラブルを早期に改善する皮膚洗浄法の開発が求められている。 本研究は、看護の視角から乳児(新生児含む)の皮膚トラブルを捉え、皮膚トラブルを有する乳児の皮膚バリア機能(皮膚の視覚的所見、pH、水分量、油分量)を明らかにすること、皮膚のバリア機能を早期に正常化させる皮膚洗浄法を開発することを目的として行った。平成22年度までに収集した乳児62人のpH、水分量、油分量のデータを皮膚トラブルの有無、季節、月齢別に分類し、分析した。結果、皮膚トラブルを有する乳児とトラブルがない乳児は皮膚バリア機能に違いがあることが明らかとなった。また、皮膚バリア機能は季節、月齢の影響を受けることも明らかとなった。 また、皮膚トラブルを有する乳児10人を対象に、当該洗浄法を実施した結果、乳児の皮膚トラブルが短期間(7日以内)に消失することを確認した。さらに、皮膚トラブル消失に伴い、皮膚バリア機能が向上することもわかった。 これらの成果から皮膚トラブルを有する乳児は表皮酸度が好適状態になく、早期に皮膚バリア機能を改善させる皮膚洗浄法が必要であり、当該洗浄法は皮膚トラブルを改善させ、バリア機能を向上させる方法として有用であることが示唆された。また、この成果をワークショップ(企画)において報告し、皮膚洗浄に関する看護職の意見交換を行った結果、肌をこすらない洗い方、石けんを残さない丁寧なすすぎ方の重要性と技術普及の必要性が共通認識された。
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Research Products
(6 results)