2010 Fiscal Year Annual Research Report
行政変革時の保健師の役割再構築ーtransition理論を用いた縦断的研究
Project/Area Number |
20592623
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
後閑 容子 岐阜大学, 医学部, 教授 (50258878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 多佳子 岐阜大学, 医学部, 准教授 (00331596)
玉置 真理子 岐阜大学, 医学部, 助教 (00377681)
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Keywords | 保健師 / 市町村合併 / 保健活動への影響 / 保健師の意識 |
Research Abstract |
市町村合併を経験した保健師管理者458名に自記式質問紙調査を実施し、209人の回答を得た。回収率45.6%。平成17年度合併の市町村が60.8%だった。回答者は係長・係長相当職が53.1%業務担当と地区担当制を併用した体制を合併直後から変わらないところが72.2%と最も多かった。保健師の立場からみて合併したことを57%が「よかった」と評価し、39.7%が「よくなかった」と評価していた。統括的保健師の立場からは、合併したことを「よかった」と評価した者は64.5%、「よくなかった」と評価した者は31.1%だった。合併直後と比べて現在の保健師活動を評価すると、「まあまあよい」と評価した者が多かった項目は、「共通目標・価値観の共有」「情報の共有化」「住民に提供できるサービスの質」「保健師仲間の支え合い・協働・強調」「電算化・システム化」などであった。合併直後と比べて現在の活動でやや悪いと評価した項目は、「保健師の効果的な配置」「事務的作業時間」が多かった。「住民と保健師の関わり」「「地域把握・地区診断」「住民に提供できるサービスの量」等は30%を超えて「ややわるい」の回答があった。 合併したことによる保健師の業務に対する考え方への影響は、「専門性が意識化した」「優先順位をつけて業務をする」「市全体をみる視点で事業をするようになった」「目標を明確にして共有する」等の長所を指摘する反面、「事務量が増加した」ことや「福祉部門などへの配置により保健師間の連携がとれなくなった」等の意見があった。合併の保健活動への影響は、サービスの格差や住民との距離感を感じていること、担当地区の責任感の低下などの感想があるが、他方、保健師が専門技術の力量を付ける必要性を感じていることや人材交流などのよくなったこともある。さらに住民からの健康調査の依頼も増加するなど、よくなったこともあった。
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