2008 Fiscal Year Annual Research Report
離島における順送りの崩壊と新しい相互扶助の構築からみた住民のQOLの検討
Project/Area Number |
20592627
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
大西 美智恵 Kagawa University, 医学部, 教授 (30223895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越田 美穂子 香川大学, 医学部, 准教授 (30346639)
片山 陽子 香川大学, 医学部, 助教 (30403778)
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Keywords | 離島 / 相互扶助 / グループインタビュー |
Research Abstract |
平成20年度は、高齢化の進んだ離島における旧来からの相互扶助と、それらを補完する新しい相互扶助の実態把握に努めた。島を訪れての地区視診や島民に対してのグループインタビューを行った結果、時間預託ボランティア・システム(タイムダラー)に変わり、世代間を越えた集まりの揚としてのサロン(きないや)が機能していた。インタビュドからは、活動がサロンの展開に変わってはいるが、タイムダラーで芽生え培ったボランティアの精神は引き継がれているという意見が多く聞かれた。旧来からの相互扶助のひとつである自治会(組)は、人口の減少と高齢化(57.6%2008年3月現在)により合併するところも現れ、島の一大イベントである弓祭りを担当する当組の数も合併して2/3になっている。インタビューからは、「今の高齢者はまだ私たちのような面倒をみる者がいるが、自分たちが歳をとったらどうなるのだろう」という将来への不安の声があった。今後も高齢化に伴う世代間の順送りが途絶えていく経過を分析していく必要があろう。そしてそこから対応できるヒントを得ることができるのではないかと考える。 島民にとって島外者は一時的に関わる人ではあるが、数年前から島が大学生の福祉実習揚所として機能しており、多くの大学生が訪れている。島民達も若者と関わることを楽しみにしているようで、このような島外からの応援団も、新しい相互扶助のひとっとして位置づけることも模索していくことができよう。このように、本研究が高齢化が進んでいる離島の相互扶助のあり方を考える一助となり得ると考える。
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