2009 Fiscal Year Annual Research Report
離島における順送りの崩壊と新しい相互扶助の構築からみた住民のQOLの検討
Project/Area Number |
20592627
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
大西 美智恵 Kagawa University, 医学部, 教授 (30223895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越田 美穂子 香川大学, 医学部, 准教授 (30346639)
片山 陽子 香川大学, 医学部, 助教 (30403778)
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Keywords | 離島 / 相互扶助 / QOL |
Research Abstract |
平成21年度は20年度に引き続き、島の旧来からの相互扶助と、新しく構築したサロン(きないや)活動についてインタビューを行った。21年度は特に、小中学生を持つ若い母親達に島での生活を含めインタビューをした。島出身の母親と島外から嫁いできた母親の双方に話を聞くことができた。母親達は、島の出身であるか否かに関わらず島の閉鎖性とプライバシーのなさを訴えた。母親達にとっての気がかりは子どもの教育問題であって、島の高齢者との世代間を超えた相互扶助について考え活動していくことの優先順位は低かった。このことは平成16年に合併し大きな市に組み込まれた時から拍車が掛かっていた。島の村役場に勤めていた若い世代は、転勤で市の本庁に勤めるため島を離れた。若い世代の数は減り、残された者達は「ずっと島で暮らそうとは思わたい」と言う。高齢化・過疎化の進む島といえば、高齢者の問題として捉えがちであるが、実は若い世代の問題であり、若い世代の疲弊が根底にあることが明らかになった。 高齢者と若い世代の世代間交流の機会でもあった、祭りを代表とする島での年中行事が縮小していく中、世代を超えた新しい相互扶助が、高齢者のみでなく若い世代にも有益である必要があろう。数少ない若い世代のみで多くの高齢者を支えていくのでなく、高齢者が若い世代を支えるシステムの構築も必要である。 若い世代のインタビューからも、数年前から島が大学生の福祉実習を受け入れ、その大学生達と交流があることが語られた。島外者は一時的に関わる人ではあるが、島民のみの世代を超えた相互扶助でなく、大学生のような島外からの応援団も組み入れての新しい相互扶助システムのあり方も模索していく必要があろう。
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