2010 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症患者の配偶者の病いの体験と家族支援に関する研究
Project/Area Number |
20592651
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
水野 恵理子 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (40327979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 みすず 飯田女子短期大学, 看護学科, 准教授 (00461872)
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Keywords | 統合失調症 / 配偶者 / 体験 / 家族支援 / 精神看護学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、入院中または外来通院中の統合失調症患者の配偶者が抱く、病気や患者に対する思いと、日常生活上の困難や葛藤が配偶者の生活や人生に及ぼす影響を明らかにし、配偶者に必要な援助を構築するための示唆を得ることである。最終年度は、当初目標の対象者数20名に達しなかったため、目標数を確保すべく再度施設へ打診し面接を続け、平成22年4月に1名の面接を行い計15名となった。その後、面接逐語録の内容分析、学会発表と学術雑誌への投稿に取り組んだ。 分析の結果、夫は、患者である妻に対する愛情は変わらずもち続け、子供の養育・家事・仕事の負担を抱えつつ、治療を支え、子供と妻との関係性を維持することの配慮が主たる役割であった。また、夫婦という信頼関係のもと、夫は妻の人生を共有する覚悟をもっていることが明らかになった(2010年9月,16^th International NPNR Conference, Oxford, UKにて発表)。さらに、夫の体験から、病気の認識と受けとめ方、過去から現在の病気の妻との生活体験、夫の役割と負担、夫婦関係と妻の存在、地域社会とのつながり、将来への展望の6つのテーマが見出された(Archives of Psychiatric Nursingへ投稿し受理され、現在印刷中)。一方、夫が患者の場合、その妻は、回復への諦めと現状維持の希望、夫の介護と他の家族員の介護、妻自身の病気への向き合い方の変化が認められた(2011年8月,3rd World Congress of Asia Psychiatry, Melbourne, Australiaにて発表予定)。 以上より、統合失調症患者の配偶者の根底にある確固とした夫婦の絆と、患者とともに生きることが有意味であるとの認識が、患者の傍にい続けることにつながっていると示唆された。
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Research Products
(3 results)