2009 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者における暴力のリスク評価のための評価ツールに関する研究
Project/Area Number |
20592653
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
下里 誠二 Shinshu University, 医学部, 准教授 (10467194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 桂 信州大学, 医学部, 助教 (00402107)
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Keywords | 精神科看護 / 評価尺度 / 精神症状 / ニード |
Research Abstract |
【目的】本研究では、簡易精神症状評価尺度(Brief Psychiatric Rating Scale : BPRS)の看護者版(McGorry, 1987)およびニードを測定する尺度である Camberwell Assessment of Need Forensic version(CANFOR)の日本語版の作成及びその信頼性妥当性の検証を行い、これらによる暴力のリスクについての包括的なアセスメントについて検討を行うことを目的とし、平成21年度はBPRSおよびCANFORの評定者間信頼性について検討した。【結果】データは一精神科病院の2つの病棟の内因性精神病の患者から得た。BPRSについては期間中に2名の看護師が1週間以内に別々に評定した。結果は北村ら(1985)に従い、2名の間の相関を見た。BPRSについては対象者は25名であり、年令43.20±12.2歳、平均入院期間391.1±244.1日であった。2名の評定者によるPearsonの相関係数は、心気性(r=.647,p<.001)、不安(r=.887,p<.001)、ひぎこもり(r=.510,P<.001)、思考解体(r=.797,P<001)、罪業感(r=.756,P<.001)、緊張(r=.852,p<.001)、衒奇的姿勢(r=.875,P<.001)、誇大性(r=.862,P<.001)、抑うつ(r=.538,P<.001)、敵意(r=.755,P<.001)、疑惑(r=.901,P<.001)、幻覚(r=.813,P<.001)、運動減退(r=0.56,P<.05)、非協調性(r=.818,P<.001)、思考内容の異常(r=.945,P<.001)、情意鈍麻(r=.613,P<.001)、高揚気分(r=.961,P<.001)、失見当識(r=.856,P<.001)、総得点(r=.934,P<.001)であった。CANFORの対象者は25名で男性21女性4であった。CANFORの得点は平均±標準偏差でスタッフ評価がmet need 6.04±2.85、unmet need 1.08±1.38、needの合計7.12±2.94であり対象者の評価はmet need 3.16±1.65、unmet need 0.8±1.0、needの合計3.96±1.98であった。スタッフ間の評価による級内相関はmet need .841(P<0.001)、unmet needで.990(p<0.001)、need合計で.657(p<0.001)であった。対象者の再テスト信頼性における級内相関はmet need .962(p<.001)、unmet need .990(p<0.001)、reed計 .982(p<0.001)であった。BPRS、CAFORともにスタッフの評定者間信頼性、対象者の再テスト信頼性は高いものと考えられたBPRSについては医師との相関について検討しさらに妥当性を高める必要がる。また今後この評価ツールが攻撃性予測の指標となりえるかを検討する予定である。
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Research Products
(3 results)