2010 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者における暴力のリスク評価のための評価ツールに関する研究
Project/Area Number |
20592653
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
下里 誠二 信州大学, 医学部, 准教授 (10467194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 桂 信州大学, 医学部, 助教 (00402107)
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Keywords | 身体的暴力 / 精神症状 / ニード / リスクアセスメント |
Research Abstract |
本年度は昨年度までに作成したCANFOR(Camberwell Assessment of Need Forensic Version)およびBPRS-NM(Brief Psychiatric Rating Scale Nursing Modification)について身体的暴力の予測指標として検討することを目的とした。 対象は2つの医療観察法による指定入院機関でH22.2月からH23.1月までを調査した。研究期間中に対象病棟で身体的暴力のあった患者1名に対して2倍の性、年齢、病名をマッチングさせた対照群を設定し、当該病棟で標準的に使用しているインシデントレポートから暴力の概要を調査し、さらにBPRS-NM、CANFORについて暴力時点にもっとも近い時点で評価されたものを調査した。暴力群と非暴力群についてBPRS-NMの総得点および下位項目、CANFORのニード評価について得点を比較した。尚、身体的暴力を「物、あるいは人に対する身体による物理的な力を使っての攻撃行動」と定義した。結果13名に身体的暴力があり、主診断は統合失調症圏12名、発達障害圏1名であった。対照群26名の主診断は全員統合失調症圏であったが発達障害圏の対象者については副診断で発達障害が含まれる2名とした。結果暴力群は非暴力群にくらべCANFORにおける「スタッフ評価でのニードの総数(p=0.04)」、「スタッフ評価での受けている公的支援の量(p=0.005)」「スタッフ評価での必要とする公的支援の量(p=0.015)」「援助に司法の問題が関係している数(p=0.0004)」が有意に多く、またBPRS-NMでのThinking Disturbance(p=0.0001), Anxious Depression(p=0.002), Hostile Suspiciousness(p=0.002), tivation(p<0.0001)で有意に得点が高かった。これらの尺度における下位項目は暴力のリスクアセスメントとして有用であることが示唆されたが身体的暴力の発生数が少ないこともありさらに長期的な検討は必要であると考えられた。
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Research Products
(2 results)