2010 Fiscal Year Annual Research Report
帯状疱疹後神経痛を抱えた高齢者の慢性疼痛との共存の過程
Project/Area Number |
20592663
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Research Institution | Sapporo City University |
Principal Investigator |
進藤 ゆかり 札幌市立大学, 看護学部, 助教 (70433141)
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Keywords | 看護学 / 帯状疱疹後神経痛 / 慢性疼痛 / 高齢者 / 痛み |
Research Abstract |
研究目的:本研究では.難知性のPHNを抱えた高齢者の痛みの実態や体験及び、その生活への影響を明らかにすることを目的とした。 研究方法:対象者は. HZ発症後3ヶ月以上経過した65歳以上の高齢者9名の同意を得た。方法は、基本属性、帯状疱疹発症年月、部位別痛みの程度VAS(0~10)、主観的健康感、Short Form36を用いた質問紙調査及び半構成的面接法を用いたインタビューを行い、同意を得た上で録音、逐語録を作成し、質的帰納的に分析した。結果・考察:対象者の平均年齢は75.8歳、女性6名、男性3名、発症後経過年数3.4年。麻酔科受診理由は第三者からの勧めが大半で、高齢者はその存在自体を知らず、適切なPHN治療の市民への啓蒙の必要性が示唆された。痛みVASは「現在の痛み」平均5.2±2.6、「満足できる痛み」平均1.8±1.3であり、対象者の現在の痛みの程度と望んでいる痛みの程度(VAS)とのギャップが少ないほど、受容されていた。SF36各下位尺度得点は年齢層別0-100得点標準値と比較すると、8尺度全てが全国高齢者平均値を下回り、特に身体の痛みや日常役割機能(身体)が顕著に低く、痛みの影響が高齢者のQOL全般を著しく低下させていた。PHN高齢者の痛みの体験は、「不確かな病状の出現」「初期治療への疑心・後悔」「状況打開の試み」「活力・体力の衰退」「痛みにまつわる予期不安」「痛みとの折り合い」「周囲の干渉の兼ね合い」「活きることへの再起」の8カテゴリーに分類された。対象者は不確かな病状の出現に困惑し、受けた初期治療に対して疑心と自分への後悔を感じていた。時間の経過とともに痛みの緩和を目指して様々な状況打開の試み、活力体力の増減を自覚しながら生活していた。痛みに関わる症状について身体的精神的不安を抱えながらも、周囲の干渉を受け、痛みとの折り合い方をみつけ、活きることへの再起に向かっていた。
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