2008 Fiscal Year Annual Research Report
訪問看護における標準予防策の検討-感染に関するインシデント・アクシデントから-
Project/Area Number |
20592664
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
福井 幸子 Aomori University of Health and Welfare, 健康科学部, 講師 (00325911)
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Keywords | 感染管理 / 訪問看護 / 標準予防策 / 有害事象 |
Research Abstract |
訪問看護事業所における感染のインシデント・アクシデント(以降、有害事象)のデータ収集方法を検討するため、感染に関する記録の有無と、その開示の可能性について5事業所を対象に聞き取り調査した。その結果、感染に関する記録を保管していたのは2事業所で、法人や事業所で作成した様式に感染に関する項目を盛り込んだものだった。事故報告書はあるが感染に関する記録がないのは3事業所で、管理者やスタッフへのインタビューによって過去に発生した感染について把握できた。次に全国の有害事象の状況把握と質問紙発送のリスト作成のため「介護サービス情報の公表」に登録している47都道府県の訪問看護事業所を対象にデータ収集した。現在31都道府県についてデータ収集が終了したが、感染症及び食中毒の“有害事象の検討記録がある"と回答したのは5,206件中、1,345件(25.8%)であった。次に地方と都市にある病院併設・非併設の訪問看護事業所4施設を抽出し、感染に関する有害事象について管理者にインタビューと記録の開示を依頼した。感染の有害事象があった2事業所のうち、1例目は訪問前よりMRSAの診断がなされていた利用者から看護師がMRSAに感染したケースで、2例目は訪問中に疥癬を発症した利用者から看護師が感染し、その後看護師が訪問していた別の利用者にも疥癬が確認されたケースであった。インタビューの内容から1例目は接触感染予防策が実施されており、感染経路の特定は困難であったが、2例目については血圧計のマンシェットを介した感染の可能性が濃厚で、標準予防策遵守に関して問題が示唆された。今後、先行研究およびインタビューから得た標準予防策の遵守項目やその他の感染につながる要因を独立変数にし、有害事象を従属変数とした質問紙の作成を図る。
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