2009 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸困難感軽減をねらいとした高齢慢性閉塞性肺疾患患者における呼吸訓練の早期介入
Project/Area Number |
20592685
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
田中 美智子 Fukuoka Prefectural University, 看護学部, 教授 (30249700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長坂 猛 宮崎県立看護大学, 看護学部, 准教授 (30332977)
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Keywords | 腹式呼吸 / 高齢者 / 自律神経反応 / ストレスホルモン / 呼吸リハビリ |
Research Abstract |
健康高齢者を対象に意識的に横隔膜を使用する呼吸法(以下、横隔膜呼吸)を行ったときの循環反応、自律神経系、ホルモンおよび主観的な反応について検討した。 地域で生活している高齢者男女各7名(男性72歳、女性69歳)に、2通りの呼吸法を行い、それぞれの条件は条件1が安静5分-通常の呼吸15分、条件2が安静5分-横隔膜呼吸15分の実験であった。横隔膜呼吸の方法は、録音音声による合図で吸気時間:呼気時間を1:2のリズムとし、吸気は鼻から吸入し、呼気は口からゆっくり呼出し、呼吸数は1分間に6回とした。測定項目は血圧、呼吸曲線、腹部筋電図および心電図で、心電図から得られたRR間隔の時系列データを用いてローレンツプロット解析を行い、自律神経系反応を調べた。また、対象には覚醒度、快不快、倦怠感および疲労感を問うVASを用いたアンケート調査を行った。実験前後には尿と唾液を採取し、ストレスホルモンと唾液IgAなどの測定に用いた。 条件1の循環動態は、横隔膜呼吸を行っている間、心拍数、血圧およびPRP(SBP×HR)ともに徐々に減少し、自律神経系の反応では、副交感神経系優位の状態を示した(36^<th> International congress of physiological sciencesにて発表,2009)。実験前後の唾液IgAは条件1と条件2ともに変化が認められなかったが、両条件の尿中ストレスホルモンと唾液コルチゾールは実験後に低下を示し、特に条件2では有意な低下が認められた。さらに、主観的な反応では両条件ともに実験後に快が増し、疲労感は減少していた(日本看護技術学会にて発表,2009)。 高齢者においても、この意識的に横隔膜を使用して行う呼吸法は対象者の負担とはなっていないことが明らかになった。今後はCOPD患者や高齢者に対して、呼吸法の1つとして日常生活に取り入れていき、呼吸リハビリの効果もしくは健康維持増進をもたらす呼吸法であるか検討する。
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Research Products
(2 results)