2011 Fiscal Year Annual Research Report
精神科看護師が実施する外来女性うつ病患者への集団認知行動療法プログラムの効果検証
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20592690
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡田 佳詠 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (60276201)
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Keywords | うつ病 / 認知行動療法 / 集団療法 / 女性 / 精神科看護師 / 外来看護 |
Research Abstract |
本研究は、精神科看護師による女性うつ病患者への集団認知行動療法プログラムの効果検証を目的とする。プログラム終了時と終了後3ヶ月、6ヶ月時点での効果について、量的・質的分析方法を組み合わせたMixed Methodにより検討を行ってきた。量的データとして、ベック抑うつ質問票・第2版(BDI-II)、自動思考質問紙短縮版(ATQ-R)、非機能的態度尺度日本語版(DAS24-J)をプログラム開始前・後、終了後3ヶ月、6ヶ月時点で測定し、フリードマン検定、t検定を行った。質的データは、終了後3ヶ月、6ヶ月時点でインタビューを実施し、逐語録を作成した後、継続比較分析を行った。 2006年4月~2011年7月までの参加者72名のうち、16名が終了後6ヶ月時点までの測定を終えた。16名について、BDI-IIは4時点間で有意差があった(x^2=8.01,p<.05)が、多重比較では有意差はなかった。さらに29名について、終了後3ヶ月までの3時点間で検討したところ、BDI-IIは有意差があり(x^2=16.07,pく.01)、多重比較では前後間で有意差があった(x^2=1.03,p<.01)。ATQ-R、DAS24-Jは4時点間、3時点間ともに有意差はなかった。しかし、72名の前後2時点間では、ATQ-R、DAS24-Jのいずれも有意差があった(t=3.33,p<.01;t=3.54,p<.01)。 質的分析では、終了後3ヶ月時点で活用していた学習内容は、<とらわれた考えと距離をとる><考え方を切り替える努力をする><自己教示する>などの認知の知識・スキル、<対処法の工夫><自己表現のスキルの活用>などの行動の知識・スキルであった。それらにより、<客観視できる><考え方の幅がひろがる><現状を受容できる><重要他者に対する見方の変化>などの認知の変化・改善、<重要他者とのコミュニケーションの変化><日常生活の変化><家事の工夫>などの行動の変化・改善、また《気分の改善》がみられた。 これらから、終了時点で症状の改善がみられ、3ヶ月、6ヶ月後にも効果が継続している可能性が示唆された。その背景には集団認知行動療法で学んだ知識・スキルの活用があると推測された。引き続きデータを蓄積し検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内外で集団認知行動療法の効果検証が取り組まれるなか、国内では終了後の継続効果を検討した研究は非常に少なく、またそのほとんどが量的データの検討のみであることから、質的データを用いた詳細な効果検討を行うことは有意義と考える。継続効果を検討する場合、1名の参加者を終了後6ヶ月まで追う必要があり、データ収集と分析ともに長期間を要すが、着実にデータ数は増えていることから、おおむね順調に進んでいると考える。効果検証には対照群を設けた研究が必要であるが、集団認知行動療法の終了後の継続効果が十分検討された上でなければ実施は難しい。現在継続効果が示されつつあるため、対照群を設けた研究は次年度に着手できるように準備していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は本研究の最終年度にあたる。あと10数例でデータ収集を終了し、それぞれ分析を行い、結果を統合して効果を検証する。今年度の後半には研究成果を専門学会で発表し、学会誌に投稿する。また研究報告書を作成する。
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