2009 Fiscal Year Annual Research Report
薬物依存症者を抱える家族の適応過程-家族の当事者活動をフィールドとして探る-
Project/Area Number |
20592693
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Research Institution | Niigataseiryou University |
Principal Investigator |
五十嵐 愛子 Niigataseiryou University, 看護福祉心理学部, 准教授 (70334852)
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Keywords | 薬物依存症者 / 薬物依存症者を抱える家族 / 薬物乱用 / 薬物問題の隠ぺい / 世間体 / 本人と家族の希死念慮 / 自助グルー / 家族会参加の効果 |
Research Abstract |
1.薬物依存症者の家族22名に半構造化インタビューを実施した。属性は男性5名、女性17名、平均年代は56.4歳。薬物依存症者との関係は父親5名、母親17名。最終学歴は4年制大学以上5名、短大・専門学校3名、高等学校10名、中学校4名。職業は自営業6名、保育士1名、医療従事者4名、会社員1名、無職7名、パート1名、サービス業1名、アルバイト1名だった。家族会への平均参加期間は約7.9年で、本人の薬物使用発覚から家族会へ参加するまでの期間は約4.1年、薬物使用発覚から始めて相談し、本人が治療を受けるまでに期間は約2.4年であった。家族会への紹介経路は医療機関4名、精神保健福祉センター2名、インターネット5名、ダルク5名、テレビ1名、警察1名、その他4名であった。薬物依存症者の属性は男性17名、女性3名。使用薬物は覚せい剤、大麻、処方薬、市販薬、シンナー等1人が複数の薬物を使用していた。平均年齢は約34.7歳。最終学歴は大学2名、高等学校11名、中学校7名。婚姻状況は婚姻3名、未婚17名。現在は回復施設入寮中8名、回復施設スタッフ2名、常勤5名、アルバイト3名、派遣社員1名、作業所で就労準備中1名であった。2.インタビューから以下のことが分かった。(1)生い立ちは同胞なし1名、同胞ありが21名であった。父母は働き手、子育てに熱心な者、再婚した者がいた。(2)仕事は、最終学校卒業後全員仕事に従事している。女性は結婚後も自営業、医療従事者など仕事を続けていた。(3)結婚は20歳前後に配偶者と出会い結婚している。再婚者は3名いた。(3)薬物問題発覚から現在まで、1)パニック、否認あり、なぜうちの子が薬物を使用したか、裏切られた。2)世間体を気にして家族だけで薬物問題(薬物使用の道具を捨てる、部屋を監視する、借金、犯罪など)の解決を図った。薬物を止めるよう本人を説得した。3)家族も病気になった(不眠、不安、うつ病など)。4)どん底の苦しみを味わった。希死念慮を持った。生きることも死ぬこともできないほど苦しんだ。本人も死んでほしかった。ターニングポイントになった5)本人に関わらなくなった、本人を家から出す、家族が家を出た。家族会に参加して仲間の回復をモデルとしてみる。6)本人と家族はそれぞれ個を重んじ独立して回復している。楽に生きられるようになった。家族会は続けて参加する。後から来る家族(仲間)を助ける。
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