2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20599007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浜村 和紀 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (00422767)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / メラノーマ / 糖タンパク質 / 糖脂質 / 血液型抗原 / Lewis y / type 2H / ラフト |
Research Abstract |
ヒト口腔扁平上皮癌におけるLewis yおよびtype 2Hにおける悪性形質への関与を明らかにするため、これらの糖鎖を発現していない口腔扁平上皮癌細胞亜株にfut1 (α1-2フコース転移酵素)を発現させ、Lewis yおよびtype 2H安定発現細胞株を樹立した。この結果、Lewis yおよびtype 2Hの発現によって、in vitro実験では、細胞増殖、浸潤能の低下、また、in vivo実験では、腫瘍形成能の低下が認められた。また、7種類の口腔扁平上皮癌細胞において、EGFR上のLewis y構造の有無とそのEGFRのリン酸化レベルとの間に逆相関があることがわかり、Lewis y発現(-)細胞の方が、Lewis y発現(+)細胞より、血清刺激後のEGFRのリン酸化が強いことが判明した。 一方、糖鎖転移酵素遺伝子改変細胞を用いて、口腔癌として問題の大きいメラノーマにおけるジシアリル糖脂質GD3の高発現が、癌の悪性形質を増強し、モノシアリル糖脂質GM1の発現が、癌の悪性形質を減弱させることを明らかにしてきた。そこで、新たに、リポソームを用いた再構築実験系により、糖鎖の違いが癌の悪性形質を分別制御するかについて検討した。GD3発現(-)メラノーマ細胞のlysateから免疫沈降したYesとGD3をリポソームに包埋して、Yesの活性レベルを検討した結果、GD3の添加により活性化が認められた。一方、GD3発現(+)メラノーマ細胞由来のYesに対して、同様にGM1を添加した場合、Yesの活性レベルが有意に抑制されることが判明した。つまり、GD3がYesの活性を上昇させる一方、GM1はYesの活性を低下させることがin vitroの系でも示され、メラノーマにおいて、糖脂質糖鎖の違いが癌の悪性形質を正負に制御するメカニズムを再構築実験系により詳細に解明しうることが明らかになった。
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Research Products
(12 results)