2008 Fiscal Year Annual Research Report
活性化マクロファージを標的とする大腸腫瘍の治療・予防の試み
Project/Area Number |
20599008
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
妹尾 浩 Kyoto University, 医学研究科, 講師 (90335266)
|
Keywords | 腸 / 癌 / 腫瘍 / マクロファージ / 内視鏡 |
Research Abstract |
一般に腫瘍の発生・進展過程では、腫瘍細胞と腫瘍周辺の微小環境の相互作用が大きな役割を果たすとされ、とりわけ腫瘍間質にリクルートされるリンパ球やマクロファージ(tumor associated macrophage、以下TAM)などの免疫担当細胞は重要である。腸管は内部におびただしい微生物を有し、間質の浸潤細胞群は常に微生物からの影響を受ける特殊な状況にある。今回の研究で申請者は、大腸に発生する腫瘍の特性を考慮に入れ、TAMの活性化を利用した新規治療法の基礎的検討を志した。 助成金の交付を受けて、本年度は平成20年秋より、ApcMin/+マウスの腸腺腫の径を1mm未満、1-2mm、2mm以上の3画分に分類して、Lasercapture microdissection(以下LCM)を利用し、腸腺腫間質からRNAを採取した。そのうえでTAMリクルート開始後の活性化状態を検討するために、代表的なM1/M2マクロファージのマーカー(iNOS, arginase 1, mannose receptor, Ym1/2など)の他、各種サイトカイン(IL-10, 12, 17, 21, 23, 24, 27, TNF-aなど)、ケモカイン(CXCL14, CCL17, CCL22など)の発現プロファイルついて定量的RT-PCRにより検討した。その結果、ApcMin/+マウスの腸腺腫間質においては、M2マクロファージのマーカーが特に高発現し、腫瘍の大きさ依存性に発現が上昇していた。さらに、マクロファージのマーカーであるF4/80およびCD68に対する免疫染色によって、腸腺腫の増大過程でTAMの密度が増加する最初期の段階を検討したところ、ApcMin/+マウスの腸腺腫が長径1ミリを超えた時点で間質へのマクロファージ浸潤が増加することが明らかになった。その他、マウス内視鏡システムを構築し、RNAiのin vivo投与に関する条件検討を行っている。これらの検討により、TAMの活性化を利用した大腸特異的な新規治療法の検討が進捗しつつあるものと考える。
|
Remarks |
基盤C
|