2010 Fiscal Year Annual Research Report
活性化マクロファージを標的とする大腸腫瘍の治療・予防の試み
Project/Area Number |
20599008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
妹尾 浩 京都大学, 医学研究科, 講師 (90335266)
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Keywords | 大腸癌 / マクロファージ / 炎症 / マウス / M2 |
Research Abstract |
本研究は、腫瘍の発生・進展過程における腫瘍微小環境の役割に注目し、腫瘍間質にリクルートされるマクロファージ(tumor associated macrophage、以下TAM)の活性化を利用した新規治療法開発の基礎的検討を志したものである。前年度までの知見に基づき、本年度は以下の検討を行った。 1. ApcMin/+NRDc+/-マウスおよびApcMin/+マウスへのCox-2阻害剤投与実験により、ApcMin/+マウス腸腫瘍ではIFN-gammaの変動に伴ってTAMの活性化状態がM2からM1に変化することを確認した。 2. ヒト・マクロファージ細胞株であるTHP-1およびマウス腹腔内マクロファージを用いた実験により、IFN-gammaはTrem2やその他のTh2サイトカインの存在下でもマクロファージの活性化状態をM1に変化させることを示した。 3. NRDc+/-マウスに対してazoxymethane/dextran sodium sulfate (AOM/DSS)投与を行ったところ、WTマウスに比べTNF-alphaおよびIL-6の産生が抑制され、同時に腸腫瘍形成も抑制されることを確認した。 4. ApcMin/+マウスおよびAOM/DSS投与による炎症性腸発癌マウスを用いて、マウス用内視鏡により大腸腫瘍を観察した。さらに大腸腫瘍に対して、不活化センダイウイルスを併用したRNAiの直視下局所注入に関する至適条件を設定した。これらの検討に基づいて、IFN-gammaをはじめとするM1マクロファージ活性化因子をマウス大腸腫瘍に対して局所投与し、腫瘍の退縮効果を検証している。 以上の実験により、IFN-gammaをはじめとする種々のTAM活性化因子の役割を明らかにした。これらの検討により、TAMの活性化を利用して大腸癌特異的な新規治療法を開発する上で、重要な基礎的治験が得られたと考える。
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Research Products
(4 results)