2009 Fiscal Year Annual Research Report
AML1点突然変異体による骨髄異形成症候群発症の病態解析
Project/Area Number |
20599009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 友亮 Osaka University, 医学部附属病院, 医員 (20506307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金倉 譲 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20177489)
松村 到 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00294083)
横田 貴史 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60403200)
前田 哲生 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00403064)
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / 急性骨髄性白血病 / AML1 |
Research Abstract |
骨髄異形成症候群(MDS)の発症におけるAML1点突然変異の役割を明らかにすることを目的として、AMLIC端欠失変異体(AML1dC)が多能性造血幹細胞の運命決定に及ぼす影響を検討した。その結果、マウスES細胞を造血細胞へと分化させるOP9ストローマ共培養系において、Tet-offシステムでAML1dCの発現を誘導したマウスES細胞は、コントロールES細胞と比較して骨髄球系(Mac1陽性)への分化傾向が強いことがわかった。さらに、AML1dCの発現誘導は、赤芽球系(Ter119陽性)細胞の出現を抑制した。このことより、AML1dCは造血幹細胞から骨髄単球系細胞への分化を促進し、赤芽球系細胞への分化を抑制すると考えられた。また、成体マウス骨髄単核球にAML1dCを導入すると、CD34陽性Mac1陽性の骨髄球系前駆細胞が増殖し、60日以上にわたり培養可能であることがわかった。以上のことから、AML1dCは造血幹細胞から骨髄球系前駆細胞への運命決定を誘導し、MDS発症の素地を作ると考えられた。過去の報告からAML1変異は単独では急性骨髄性白血病(AML)を起こさないことが分かっている。AMLの発症には多段階の遺伝子変異が必要であると考えられていることから、つぎにAML1変異導入細胞のDNA修復能を検討した。その結果、AML1dC導入32D細胞では、紫外線やガンマ線によるDNA損傷に対する修復能が低下していることがわかった。この結果より、AML1変異体はDNA損傷修復能を低下させることで、MDSからAMLへの移行に必要な遺伝子変異の獲得を促す可能性が考えられた。今後はAML1およびAML1変異体のDNA修復における具体的な役割を明確にしていく予定である。本研究はMDSからAMLへの移行におけるAML1変異体の作用を明らかにすることを目的としており、臨床応用の観点からも重要性の高いものである。
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Research Products
(4 results)