2010 Fiscal Year Annual Research Report
過活動膀胱の分子生物学的・電気生理学的特性を解明し、新治療法の可能性を探る
Project/Area Number |
20599012
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
梶岡 俊一 九州大学, 医学研究院, 特任准教授 (90274472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 成人 九州大学, 医学研究院, 准教授 (90294941)
中山 晋介 名古屋大学, 医学部, 准教授 (30192230)
怡土 信一 九州大学, 歯学研究院, 助教 (00315095)
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Keywords | 膀胱排尿筋 / 過活動膀胱 / イオンチャネル / 特殊間質性細胞 / カルシウムオシレーション |
Research Abstract |
本研究の目的は、過活動膀胱の新たな治療戦略を探るにあたり、膀胱排尿筋及び間質性自動興奮性細胞(Intestinal Cell of Cajal : ICC)の分子生物学を含めた組織学的、電気生理学的特性が、過活動膀胱になっていく過程でどのように病態生理学的に変化していくかを解明することにある。その目的遂行のため、ヒトの膀胱排尿筋に存在するイオンチャネルの詳細な検討と、モルモットの正常膀胱・過活動膀胱モデルを比較検討することを2つの柱として本研究を開始した。ヒトの膀胱排尿筋に存在するイオンチャネルの詳細な検討では、世界で初めて、ヒト膀胱排尿筋のATP感受性Kチャネルのシングルチャネル電流の観察に成功し、さらに電子伝達系で重要な役割を果たすβ-nicotine amide adenine diphosphate (βNAD)がATP感受性Kチャネルを活性化する能力を有していることを発見した(Journal of Urology in Press)。もうひとつの柱であるモルモットを使用した正常膀胱・過活動膀胱モデルの比較検討ではWestern Blotting法、免役組織染色法では、定量的に膀胱に発現する間質性細胞の発現量やギャップジャンクションの発達の差異を有意に示すことはできなかった。しかしながら、チロシンキナーゼ阻害剤であるソラフェニブやギャップジャンクション阻害剤であるメフロキンは、カルバコールによるムスカリン受容体刺激によって誘発される一過性の収縮及び周期的な振幅性の収縮の2種類の収縮に対して、異なる感受性を示すことを、ブタの膀胱排尿筋で確認した。いずれの薬剤とも、振幅性の収縮をよりよく抑制した。これらの結果は、振幅性の収縮に間質性細胞とギャップジャンクションが、より関わっていることを示唆しており、膀胱排尿筋特有の周期性自発興奮収縮の機能異常に資すると考えられている過活動膀胱に対する新たな治療薬としての可能性を示した。
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Research Products
(6 results)