2009 Fiscal Year Annual Research Report
サルモネラ菌感染における腸管上皮バリア維持とサイトカインシグナルのクロストーク
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20599015
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
稲垣 匡子 University of the Ryukyus, 熱帯生物圏研究センター, 研究員 (70363588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 吾朗 国立大学法人琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (30229455)
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Keywords | 腸管上皮バリア / 腸管上皮間T細胞 / 腸管感染性細菌 / ジャンクション分子 / サイトカイン |
Research Abstract |
腸管上皮細胞はジャンクション分子を介して結合し、細胞極性をもつ機能的な腸管上皮バリアを形成することで、生体防御の第一線の役割を担っている。腸管感染性細菌による腸管上皮バリアの破綻の詳細なメカニズムは不明である。本研究では上皮バリア構造維持に重要なE-cadherinに着目し、マウスのサルモネラ腸管感染モデルを用いて、消化管感染による上皮粘膜細胞間でのジャンクションおよびサイトカインシグナル伝達制御や両伝達機構のクロストークおよびその破綻におけるE-cadherinおよびSOCS3の意義を検討することを目的とした。消化管上皮細胞特異的E-cadherin欠損(T3b-E-cadherin cKO)マウスを作製し、T3b-SOCS3 cKOマウスと比較した結果、T3b-E-cadherin cKOは回腸部での絨毛が未発達であるが、それ以外の消化管部位は正常であった。一方、T3b-SOCS3 cKOマウスは胃で癌を発症し、小腸では上皮層の異常増殖に次ぐ破壊や炎症像が加齢に供ない顕著になった。STAT3およびI-κBのリン酸化はT3b-SOCS3 cKOマウスで増強されたが、T3b-E-cadherin cKOでは軽度であった。ジャンクション分子の発現に関して、T3b-E-cadherin cKOでは主要な分子についてWTマウスとほぼ同じであったが、T3b-SOCS3 cKOマウスではE-cadherinとoccludinの発現が著減していた。両欠損マウスでサルモネラ経口感染に高い感受性が示されたが、特にT3b-SOCS3 cKOマウスで顕著であった。これらの結果からサイトカインシグナル制御の逸脱がタイトおよびアドヘレンスジャンクション分子の発現および腸管上皮バリア機能の低下を引き起こしたと考えられる。
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